(3)固形物
金属製品の表面には、次のような汚れが存在しています。すなわち、加工による金属表面の化学変化による生成物、単純に付着したゴミや埃、防錆油や潤滑油などとの油膜に付着したゴミや埃など、有機・無機性の固形物の汚れが付着しています。
(1) | 成形、熱処理などによる酸化皮膜・硫化物皮膜 | |
(2) | 貯蔵、保管による酸化物・炭酸塩・硫化物皮膜 | |
(3) | 空気中を飛散するゴミ・塵芥の油性膜への付着 | |
(4) | 長期保存による潤滑油などの高粘度の油性膜 | |
(5) | 素手での取り扱いによる指紋や汗のあと、シミなど |
(4)油と固形汚れの混合
表面処理を施す前に、機械的研磨による製品表面の表面調整が行われる場合があります。これは、金属表面をバフ研磨やサンドブラストなどで、つや消し、梨地、ヘアライン、鏡面光沢など、製品に美的商品価値を与える装飾法の一つです。
バフ研磨について触れておきます。バフ研磨は、一般に次のように行われます。
■エメリーバフ研磨
(布を何枚も密に重ね縫いして円形にしたバフの円周方向に、エメリー砥粒を膠で接着したバフで、よく用いられる砥粒は、粗いものが#120、#220、などから、細かいものは#320、#400など、番号の若い順(粗いものから細かいものへ)に研磨して、製品表面を滑らかにします。このとき、摩擦を減らして金属の焼けを防ぐため、油性の研磨剤を併用します。これをコンパウンドともいいます。)
■バフ琢磨
(エメリーバフ研磨の終了したものに対して、鏡面研磨か、つや消し研磨を行います。このとき使用するバフは、布を何枚も重ねて粗く綴じ、円形にしたもので、布バフといいますが、その円周面に油性研磨剤を使って琢磨します。)
このようにバフ研磨と一口にいっても、エメリーバフ研磨で終了するものもありますが、光沢面に琢磨するものもあります。
(1) | バフ研磨などのコンパウンド・・・金属微粒子とコンパウンド油脂の混合物 | |
(2) | 炭素と炭素質の汚れ・・・分解した油のワニス状皮膜 | |
(3) | マークや仕切り材による汚れ・・・印刷インクや合成樹脂による転写やシミ |
このように金属表面に付着している汚れを分類すると、潤滑剤など油系のものと、加工や熱処理による酸化皮膜など金属系の汚れに大別できます。前者には「脱脂処理」が、後者には「酸洗い処理」が行われ、除去されます。