化学薬品と界面活性剤の働きによって金属表面から汚れを除去する「洗浄液」による方法で、この方法は、汚れを金属表面から洗浄液中に引き離す作用と、汚れを洗浄液中に安定に保持して再付着を防止する作用から成り立っています。
1)洗浄液の種類
次のように大別できます。
(1)アルカリ塩水溶液(か性ソーダ、炭酸ソーダ、燐酸ソーダ、けい酸ソーダなど。ときには塩酸、硫酸などの酸水溶液の酸性洗浄液も使われます)浴組成の一例を【表1】に示します。
【表1】鉄鋼用アルカリ脱脂浴組成の一例(g/ℓ)
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(2)界面活性剤水溶液
(3)アルカリ性脱脂液(アルカリ塩と界面活性剤の水溶液)
(4)乳化脱脂液(溶剤と界面活性剤)
2)洗浄方法
洗浄液は汚れを、置換、可溶化、分散、エマルジョン化、鹸化などの作用によって洗浄します。その方法には次のようなものがありますが、いずれも水溶液であるため液温の影響を強く受けます。すなわち温度が高いほうが洗浄力は強くなります。
(1)浸し、浸し揺動洗浄(浸漬洗浄ともいわれ、脱脂槽の中にワークを浸漬する)
(2)スプレー洗浄(コンベヤーでワークを移送する場合などに適用されます)
(3)タンブリングバレル洗浄(バレルに小物部品と洗浄液を入れて回転洗浄する)
(4)スチーム洗浄(自動車の洗浄など大物の洗浄で使われる)
(5)ブラッシング洗浄(手作業から、回転ブラシによる自動洗浄まで)
(6)電解洗浄(浸漬洗浄において直流電解を併用する)
(7)超音波洗浄(浸漬洗浄において超音波を併用する)
3)この方法の特徴
この方法の特徴として、すべての汚れに適用でき、大雑把な洗浄に適していることです。電気めっき、陽極酸化処理、PVD、CVDなどの前処理として、また、酸洗いPicklingや機械的スケール除去、溶剤洗浄などの前処理・後処理としても採用されています。
洗浄剤はいずれも安価で、水溶液のため水でゆすげる利点があり、引火性・毒性がなく作業者にとって安全な方法であります。