話題を変えて、金属など表面処理の対象となる素材の洗浄について考えてみましょう。
通常、表面処理は、次のような工程で行われます。
めっきなどの表面処理を施す場合、直ちに、めっきという表面処理ができる訳ではなく、必ずその準備工程が必要です。それが、めっきの前処理工程で、めっき素材表面を、めっきが可能の状態にする工程です。これは、素地(最近は、金属に限らずプラスチック、セラミックなども対象になりますが)の表面の清浄化です。つまり、素地表面に付着しているいろいろな「汚れ」を除去して、素地表面を露出させることから始めます。この作業を「洗浄」といいます。
それでは、素地表面の汚れには、どんなものがあるのでしょうか。
金属表面の汚れ-1
まず、金属洗浄の前に、表面の汚れについて、考えてみましょう。通常、表面処理の対象となる金属製品の表面には、次のような汚れのうち、いずれかが、あるいはそのいくつかが付着しています。
(1)防錆油、潤滑油など
金属製品は、出来上がったまま保存すると、酸化して、変色や錆を発生して、製品にダメージを与えたり、次の工程に障害を与えます。このような現象を防止するために、防錆処理をして保存するのが普通です。石油系や動植物油の防錆油を製品表面に塗布します。
(1) | 鉱油、ペトロラタム、石油ワックスなど | |
(2) | 脂肪酸などの動植物性油脂 |
(2)金属成形用潤滑油
金属材料は、次のような、各種の金属加工が施されて、金属製品に成形されます。その際、加工を円滑に行い、製品と金型・工具などとの摩擦を低減して、磨耗を防止するために、また、発熱防止のために各種の潤滑剤や冷却剤が使われています。
(1) | 圧延、引き抜き、プレス加工などの滑剤・・・石鹸、脂肪酸 | |
(2) | 鋳物成形用離型剤・・・シリコン系、フッ素樹脂、グラファイト系 | |
(3) | 切削加工など・・・鉱油、水溶性エマルジョン切削油、硫化脂肪酸 | |
(4) | 鍛造用・・・グラファイト入りグリース、重油、微粒子含有潤滑油 |