曲げと割れの関係については、材料の圧延方向と曲げ線の関係があります。材料の圧延方向と曲げ線は、直角または角度で交わる関係が割れ防止となります。
【図1】に示すように、曲げ半径を大きくすることも効果があります。曲げ半径は板厚の5倍程度が大きくする目安で、それ以上大きくしてもあまり大きな変化は期待できません。
曲げの割れは端部から発生しやすいです。その理由は面の粗さが関係します。面が粗いほど割れが出やすくなります。バリ面を曲げ外にするとこの状態になります。そのため、【図2】(a)に示すようにせん断面側を外にして曲げると効果があります。上下の2方向に曲げを持つ製品では、どちらかの曲げが、バリ外の状態となってしまいます。このようなときには【図2】(b)に示すように、バリ外となる曲げ部分を切り欠き等で処理して、せん断面側が曲げ外側となるように工夫します。この対策は特に厚板の曲げ加工では大切です。
バリ面を外にして曲げなければならないこともときには生じます。順送加工の中での曲げ等のときです。このようなときには破断面とバリ部を圧縮して潰し、面を改善する方法があります。(【図3】参照)
薄板では比較的割れの発生は少ないです。そのような状態を作り出そうとした考えが【図4】です。曲げ線に沿って潰しを入れ薄くすることで割れ対策とする方法もあります。曲げ部の強度が低下する欠点はありますが。
曲げ割れの関連内容として、抜き形状との関係(曲げ加工のいろは その4)曲げの注意形状(1)、曲げ部強度の関係から(曲げ加工のいろは その6)曲げの注意形状(3)も参照してください。