【図1】に示した形状がフランジ成形の基本形です。
横から見た形はL形状となり、全て同じです。上から見たときの加工線形状(加工線)に違いがあります。直線、円弧の違いです。円弧は凸と凹があります。直線と円弧の凸と凹の変化で、【図2】に示すように加工前のブランク形状に差が出てきます。
直線フランジは一般に言われる曲げです。加工線が直線だと、変形を受ける面への影響が無いため、ブランク形状は単純な長方形となります。
加工線が凸の円弧となると、変形を受けるフランジ部分に圧縮力が働きます。そのため、フランジ部分のブランク形状は開いた扇状になります。開いた扇を縮めて形状を作るため、フランジ部にしわがでやすくなります。また、フランジ部は伸びる方向に変化します。
加工線が凹の円弧に変わると、フランジ部分には引っ張りの力が働くようになります。フランジ部分のブランクは閉じた扇状になります。フランジの変形過程では材料は伸ばされるので、割れが発生することがあります。伸びの影響から、フランジの縁はもとの板厚より減少します。
このようなフランジ成形は、直線のフランジ成形に比べ形状強度が高まるために利用されることが多いのです。反面、加工は難しくなります。
以上の内容はフランジ成形の基本形状ですが、複合形状は当然多く使われています。その代表的な形状が【図3】に示す段付きフランジ成形、ジョグリングとも呼ばれる形状です。3つの基本形状が全て入っている形です。加工のときのフランジ部の材料の動きは複雑になります。
複合形状の問題対策として、金型的には加工内容によって部分的にクリアランスを変化させたりします。ブランクではボリュームを変えて対応します。が、形状を読むことが難しく仮形状のブランクを作り、試し加工後に修正をして、適正なブランク形状を得る方法が現状では多いようです。