ビードは面の強化を目的として使用されます。ひも出し加工とも呼ばれています。ここでは曲げ部に用いた場合の例を紹介します。
【図1】は、曲げ部に付けられたビードのイメージです。曲げ線からかなり遠い位置までビードを伸ばし面の強化を図ります。リブでの対応限界を越えたときに使用されるものと考えてよいと思います。
リブ加工では曲げと同時に、リブ付けを行いますが、ビード付きの曲げでは同時加工が無理になります。その理由は、面部分に長く伸びたビードにあります。フランジ部分に長く伸びたビードは曲げのフランジ加工のときに成形されることになりますが、こすり上げるようにしてフランジ部のビードは作られます。実際には、変形抵抗がかなり大きくなり、キズ、変形が発生して、製品の形にならないことが多いのです。
このようなことから、【図2】に示すように、板のうちにビードを成形して、その後に曲げを行います。工程数は増えますが、きれいなビード付き曲げ形状を得ることができます。
ビードもリブ同様に、曲げ幅に対してバランスのとれた位置に配置するのがよく、偏った配置は変形を招きます。幅が広く複数のビードを付けるときも同様です。ビードが偏った場合の変形は、リブに比べはるかに大きなものになります。
ビードの大きさの目安を【図3】に示します。
ビードの深さに比例して周囲の材料は引かれます。外形に接近したビードは、外周の変形を引き起こす可能性があります。できるだけ外周より離して、深さの浅いビードで目的を達成するように心がけるのが、ビードを使った曲げ成形のコツといえます。