抜き加工のバリはでるものであり、無くすことは難しいです。そのために、加工後にバリを面打ちして取ることはよく行われています。PL問題があり、最近ではバリ取りは増える傾向にあります。 バリを無くす加工方法の一つがここに示す方法です。一般的には「平押し法」と呼ばれる方法です。
この方法はまず【図1】に示すような半抜きを行います。通常、パンチはダイより少し大きくします。このような状態を「マイナスクリアランス」と呼びます。
パンチを材料に押し込むことで、材料はダイに押し出され片面のだれが形成されます。このときのパンチの押し込み量が重要で、材料板厚の75%以上とします。
次の工程が平押し工程です。平押し工程は作業は単純ですが、内容はユニークです。その説明が【図2】です。材料は半抜きされた状態になっています。この形状を3つの部分に分けて考えます。仮想パンチ部分、仮想ダイ部分、そして仮想パンチと仮想ダイに挟まれた部分、この部分の材料を仮想パンチとダイで抜くのです。自分で自分自身を抜、だれを作るこれが平押し工程の中身です。
平押しされた状態は【図3】のようになります。
平押し工程をうまく行うようにするのが、半抜き工程の押し込み量なのです。浅いと仮想パンチ、ダイが持ちません。深すぎると平押し前に切れてしまいます。
マイナスクリアランスにする理由は、平押し工程で材料が焼き付かないようにする工夫です。
分離した形状は【図4】のようになります。注意深く【図1】からの形状を見てください。加工仕上がり寸法は、抜かれた製品の外形寸法では、半抜き工程のパンチ寸法とほぼ同じとなります。普通のブランク抜きと少し違ってきます。
この方法は、大きな製品にはあまり試されてはいないと思います。小さな製品で試してみて下さい。