普通の抜き加工は【図1】(a)のような切り口面となります。この面が、きれいなせん断面の形で欲しいときがあります(輪郭形状や穴または形状の一部)。このようなときに【図1】(b)に示すように、切り口面をわずかに削りきれいな面に仕上げることをします。このような加工方法を「シェービング加工」といいます。
シェービング加工で大事なのは【図1】(b)に示した、取りしろの大きさです。1回の加工で削れる取りしろの大きさは、材料板厚の5%〜10%程度です。例えば軟鋼は5%程度、硬鋼では8〜10%程度また黄銅では10%程度が目安です。
1回のシェービングで不十分なときには、2回、3回とシェービングを繰り返し行うことがあります。
シェービングの方向には【図2】(a)の正置法と【図2】(b)に示す倒置法があります。
正置法は、製品のダイへの当たりが均一になりバランスがよいです。倒置法は、破断面側から当たるので、当たり方が不安定になり削られ方がばらつくことがあります。
シェービング加工はブランク抜きを行い、次工程でシェービング加工となるため、基本的に工数がかかる仕事です。位置決めも難しいです。更に、シェービング加工での問題点は、薄く削られたスクラップが油等で金型に付きうまく落とすことが難しく、そのために製品にキズ等を発生させる原因となることがあります。このようによく知られた加工方法ですが、使われることが少ないです。
順送加工の中に組み込むことも行われていますが、スクラップの処理を間違えると製品にキズが付き、加工にならないことがあります。シェービング加工を順送加工の中で行うときには、普通抜きのスクラップとつなげるような工夫をして、一緒に落とすようにすることです。