入れ子式(インサート式)の金型構造は、高精度金型や量産金型に多く見られます。精度を高めた入れ子部品を作り使う、超硬合金などの寿命対策を考えた材料を使う等からきています。
では入れ子は【図1】のような割ブロックで作るのがよいのか、【図2】のような一体式がよいのかの選択はどのようになっているのでしょうか。
高精度金型は、研削で加工した部品を使って作るという考え方は昔からありました。そのときの研削加工は成形研削です。砥石を成形してダイ部品の形状を加工するのです。ときには加工用のジグまで作って作業をしました。研削作業の熟練を必要とするため、最近ではめっきり少なくなった作業です。ワイヤカット放電加工に置き換えられています。
研削加工で形状を作るためには入れ子部品は割ブロックにする必要がありました。これが割りブロックの考え方です。しかし、割ブロックは組み込んだときに段差ができやすい。力が掛かったときに開いたり、傾いたりすることがあります。金型としての使用上に問題があり、組立やメンテナンスに注意が必要でした。
一体式では穴と輪郭の関係精度や穴の加工精度に問題がありましたが、最近ではワイヤーカット放電加工の精度も向上していることと細線(0.05mm程度)の電極が使えますから、細かな形状への対応も容易になり、細かな形状の入れ子にも対応できるようになり、割ブロックの必要が少なくなってきています。一体式であれば、ブロックの段差や開き等の心配もありません。