「危なかった…」とヒヤリとしたことはありませんか?ヒューマンエラーの原因と、設計や保守の具体策をひとまとめ
- ヒューマンエラーの傾向/なぜ発生するのか
- 対策は?/ポップアウト効果/ホーソン効果
- ヒューマンエラー対策/最後に
ヒューマンエラーの対策は?
異常に気づくことが、最も大切
確立的には必ず発生し、共通性もないヒューマンエラー。どのような対策を打ったらよいのでしょうか?
人間は間違いを起こしますが、大事故はそれほど発生していません。
それは、皆が正常な状態に戻しているからです。(自転車を運転する際も傾くと、バランスを取って中心に戻しています)
このように考えると、異常や正常から外れても、それに気づくことが最も大切です。
事故が起こるタイミングフロー図を、下記に示します。
普段は正常圏ですが、何かの拍子に日和見圏になることがあります。正常ではありませんが、事故にはなりません。
日和見圏でも臨界状態まで進んでしまうと、後戻りができず、事故は避けられません。
ここに至る前、できれば、正常圏から外れた時にすぐに気づいて正常圏に戻せば、事故は発生しません。
事故が起こるタイミング
同じ人間でも、環境により、間違いに気づくことに、天と地ほどの差が出てきます。
工夫次第で、10人でも見つからないものを、1人で見つけることができるようになります。
対策例 ポップアウト効果
目視での確認をより確実にするのが、「ポップアウト効果」です。
間違いが飛び出して見えるようになれば、誰でも間違いを発見できるようになります。
具体的な応用としては、背景を変えて、間違い、間違った状態が目立つようにすることが挙げられます。
また、人間は他人に見られるとがんばって、普段より上手に、早く、丁寧に仕事をしようとする性質があり、
「ホーソン効果」と呼ばれます。
航空機業界でも、この効果を応用し、歩き回ることにより意図的に他人の目を作り、
安全を作っていこうとする取り組みもあります。(適度な他人というのがポイントです。
上司や先輩にじっくり見られると、逆に緊張してしまいますので、ご注意ください。)
ホーソン効果とは?
名前は、ゼネラル・エレクトリック社のホーソン工場(イリノイ州シカゴ近郊)で実験されたことに由来します。
電子部品工場で、普段は明るい工場で組み立てを行っている作業員を、数人選び出して、
照明の暗い部屋で作業をさせてみたところ、生産性が低下するという予想に反して、生産性が向上しました。
自分が注目されていると意識して、いい格好をしようとすることが、物理的な要因以上に効果を発揮したと言えます。
レストランのオープンキッチンもこの効果を上手に活用した例です。
ホーソン効果の実験結果 (光量が減る=暗くなっても、生産速度は遅くならず、むしろ速くなっています)
フェーズ | 照明光量 | 生産速度 |
---|---|---|
第1フェーズ | 11.5FC | 111.0 |
第2フェーズ | 9.5FC | 113.5 |
第3フェーズ | 7.3FC | 112.4 |
第4フェーズ | 6.0FC | 114.4 |
第5フェーズ | 5.1FC | 113.5 |
第6フェーズ | 4.0FC | 115.2 |
第7フェーズ | 2.7FC | 117.7 |
第8フェーズ | 11FC | 116.1 |
第9フェーズ | 11FC | 117.7 |
※FC:Foot-candleという照度の単位。 1 FC=10.76 lx
また、万が一の事故が発生してしまった場合に備え、事故原因を逆探知できるようにしておくことも大切です。
センサを設置したり、番号で追跡ができるようにしたり、整理整頓をし、仕事を順序立てて行うようにします。
揃い待ち合流を含むフローは、作業のし忘れを生みやすいので、なくす方が賢明です。