身の回りのエレクトロニクス製品が軽薄短小・高密度高機能化の傾向にあるため、使用される部品類の静電破壊問題の対策の重要度が増しています。ここでは、「イオナイザーファンタイプ・ノズルタイプ」と関連する静電破壊問題の対策の考え方について解説します。
静電破壊は部品そのものを見てもほとんど解りませんが、組み立てた製品の機能評価で不良が解る厄介な品質不良項目です。【写真1】は液晶ディスプレイの静電破壊部分の拡大写真、ディスプレイを点灯させると点状の欠陥が見えます。
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(1)静電破壊の対策法の一例
(1)対策のステップ
次の a)→ d)が、対策のステップの一例です。
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(2)解説・・・上記の対策ステップa) 〜d) を解説
a) | 顕微鏡などで不良部分を観察し、静電破壊が発生したと思われる製造工程(複数の候補)を挙げる。 | ||
b) | 製造工程の部屋の照明をOFFにして真っ暗にした状態で製造実験を行うと、微小放電の発生を目視で確認できる(製品の内部構造での静電破壊の場合は見えない)。・・・忍耐が必要です! | ||
c) | 放電事故が生じた工程で、ワークと周辺機器の帯電状態をEMIロケータで計測する。 | ||
d) | 原理・原則に則った複数の対策案を試みて、効果のある手段を採用する。 【例】 単純モデル・・・静電破壊=落雷に類似→落雷による災害防止策は避雷針(アース)
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(3)イオナイザーの使用法
- イオナイザーの使用で電位バランスの安定化が期待できます。
- イオナイザーの除電速度よりも静電気発生速度が早いので、イオナイザー設置が万能薬ではありません。
- イオナイザーの電荷を運ぶ風がワークに均一に当たる様に工夫します。
- イオナイザーとワーク間の距離を適切に選ぶことが重要です(下記)。
(1)電荷発生量と距離の関係
(2)除電速度と距離の関係
(3)ワーク上の電位(誘導電位)と距離の関係