市場環境の厳しさから、自動機で製作する商品も多品種対応かつ高品質・高性能・低コスト対応が求められており、これらのニーズ対応として自動化機器への要求性能(Q、C、D)も非常にハードルの高い内容が求められている。しかし、高度な自動化機器の開発には技術的に相反する性能の実現が求められる場合が多くある。以下では失敗しない自動化機器開発の進め方について解説した。
(1)自動化機器の構想段階でなすべきこと
・新しい自動化機器の設計仕様の内容には互いに相反するものがある。例えば、高速化と高精度化と大型化の要求ニーズは、相反する難しさを有している。
・例えば、大型化は駆動距離が長くなるため組立精度が出しにくくなり、装置重量が増すため加減速度の制御も難しく高速化しづらい。また、高速化させると慣性力の影響等で変形力が作用するため高精度化の難易度が高くなる。
・したがって、新技術導入を必要とする自動化機器の場合、構想段階で自動化機器の開発の進め方を色々と考察した上で、相反する性能実現の方針を定めることが重要。
・この事例では、大型化と高速化の性能実現には従来技術を応用した改良技術で技術開発を進め、高精度化の実現に伴い生じると想定される、相反する性能実現のために革新技術を新たに導入する開発方針とした。
事例解説:
・通常はエッチングプロセスで製作される有機薄膜の微細直線除去をレーザ光で昇華除去する自動化機器の開発。
・エッチングプロセスでは高精度マスクで微細直線パターンが形成されるが、開発機器では大型・高精度・高速の駆動テーブルの実現が必要となる。
・開発のメリットは、薬液管理プロセスを含む大型ライン投資を不要としてクリーンでコンパクトな生産方式に置き換える。