金型の材料そのものではありませんが、金型の錆止め目的や色分けを行う目的で、モールドベースや金型部品へ塗装を行う場合があります。塗装は、いろいろな塗料を塗布して行われます。
今回は、塗料について解説を行います。
塗料は、発色する固体成分(顔料)を液体成分(展着剤)へ分散させたもので、塗膜には不透明と透明のものがある。液体成分が油の場合、油性ペイント、水である場合を水性ペイントと呼んでいる。
塗料の塗布には以下のような方法がある。
(1)はけ塗り
もっとも原始的な方法で、はけで塗料を塗布する方法。
(2)溶射法
塗料を火炎中で高速で通過させて半溶融状態にして圧縮空気で吹き付ける方法。
(3)流動浸し法
樹脂粉末を空気か窒素の中に流動状態とし、この中に余熱したワークを入れて表面に塗料を付着させる方法。
(4)ディスパージョン法
樹脂の微粉末を溶剤へ懸濁させてこれをスプレー塗装し、さらに蒸発乾燥後、加熱して焼き付け塗装する方法。
塗料の種類としては次のようなものがある。
(1)鉛丹塗料
鉛丹(Pb3o4)を煮沸したあまに油に混合した塗料で、錆び止め塗料として多用されている。亜鉛化鉛を用いた鉛粉塗料もあるが、最近は環境保護の観点から使用は避けられている。
(2)酸化鉄、クロム酸鉛、黒鉛、アルミニウム粉を用いた塗料
顔料として上記物質を用いた塗料が用いられる。
(3)耐酸性向上塗料
塩化ゴム、うるし、アスファルトを用いた塗料が用いられる。
(4)耐アルカリ塗料
塩化ゴム、合成樹脂系、うるし系塗料が用いられる。
金型は高価であり、しかも鉄系の炭素鋼で作られている部品が多いので、湿度の高い季節や航空機での金型輸送時には、モールドベースや標準部品には水滴が付着する。これらによる錆びを防ぐためには塗装を行うこともある。