測定方式の原理から機種を絞り込みたい設計者向けに、各方式の精度特性を比較します。レーザ・光学・超音波・渦電流・接触式は適用対象と分解能が異なります。出力信号と主要メーカーの違いも整理しました。
仕様から変位センサを絞り込む
このページの目次
- レーザ変位センサの詳細:三角測量型 vs TOF型
- 超音波変位センサの仕組みと特性
- 渦電流式変位センサ:導電性金属向け・高速
- 接触式変位センサ(差動トランス・リニアゲージ)
- 出力信号の種類:アナログ(電圧・電流)vs デジタル
- 変位センサ主要メーカー比較:キーエンス・オムロン・パナソニック
- よくある質問(FAQ)
レーザ変位センサの詳細:三角測量型 vs TOF型
三角測量型の仕組み
レーザダイオードから出射したレーザスポットが対象物表面で反射し、受光レンズで集光されてCCDまたはCMOSイメージセンサ上に結像します。センサ~対象物間の距離が変わると反射光の入射角が変化し、受光素子上の結像位置がずれます。このずれ量と三角形の幾何学的関係(三角測量の原理)から距離を算出します。
TOF型の仕組み
レーザパルスを照射し、対象物に反射して戻るまでの往復時間(Time of Flight)を高精度なタイマーで計測します。距離 = 光速(3×10⁸ m/s) × 往復時間 / 2 の式で距離を算出します。ナノ秒単位の時間計測が必要なため高度な回路技術が必要ですが、長距離測定に適しています。微小な高さ変化や段差を高分解能で測定する用途では、三角測量式や共焦点式などの方が適する場合があります。
| 仕様項目 | 三角測量型 | TOF型 |
|---|---|---|
| 測定範囲 | 2mm~1m程度(長距離型では数m) | 数十mm~数十m程度(長距離型では100m超) |
| 分解能 | μmオーダー(高精度機ではサブμm) | 0.1mm~数mm程度 |
| 応答速度 | 数μs~数ms程度 | 数ms~数百ms程度 |
| 得意な用途 | 短~中距離の高精度測定 | 長距離・大型部品の測定 |
| 不得意な対象 | 透明体・鏡面は測定困難な場合あり | 微小変位測定には不向き |
超音波変位センサの仕組みと特性
超音波変位センサは圧電素子から超音波パルスを発射し、対象物で反射して戻るまでの時間を計測して距離を算出します。音速(常温空気中で約340m/s)と往復時間から距離 = 音速 × 往復時間 / 2 で計算します。
| 仕様項目 | 代表的な値 | 特徴 |
|---|---|---|
| 測定範囲 | 数cm~数m程度 | 長距離・広範囲測定に対応 |
| 分解能 | 0.1mm~数mm程度(機種による) | レーザ式より低い |
| 対象物依存性 | 透明体、液面、比較的大きな対象物の検出に向く | 色・透明度の影響は受けにくいが、形状・表面状態・音響特性の影響を受ける |
| 温度依存性 | 音速が温度依存(+0.6m/s/°C) | 温度補正機能内蔵品を選ぶと精度向上 |
| 最小検出対象サイズ | 超音波ビーム径(数cm~) | 微小物体の検出は苦手 |
超音波センサは透明フィルムのたるみ検出、液面レベル、ロール径測定などに使われます。
渦電流式変位センサ:導電性金属向け・高速
渦電流式変位センサは高周波交流電流をコイルに流して交番磁界を発生させ、近傍の導電性金属に誘起される渦電流の影響でコイルのインピーダンスが変化する原理を利用します。このインピーダンス変化はセンサ~金属間の距離に対応するため、導電性金属までの距離や変位を非接触で測定できます。
| 仕様項目 | 代表的な値 | 備考 |
|---|---|---|
| 測定範囲 | 0.1mm~50mm程度 | コイル径が大きいほど測定範囲が広がる傾向 |
| 分解能 | μmオーダー | 測定範囲の0.1%程度のものもあるが、機種・レンジにより異なる |
| 応答速度 | 数十kHz帯域(高速) | 振動・高速回転部品の測定に適す |
| 適用対象 | 金属(導電性材料)のみ | 樹脂・ガラスには反応しない |
| 耐環境性 | 油・水・汚れに強い | 油圧機器・工作機械での使用に適す |
渦電流式は油や切削液の影響を受けにくいため、工作機械の主軸変位測定・回転体の振れ測定・金属膜厚の非接触測定などに広く使用されています。
接触式変位センサ(差動トランス・リニアゲージ)
差動トランス式(LVDT)
差動トランス(LVDT: Linear Variable Differential Transformer)は、1次コイルと2つの2次コイルの間で磁気的に結合した鉄心(コア)の変位を電圧差として出力します。コア変位に対して非常にリニアな出力特性を持ち、長期安定性と堅牢性に優れます。
リニアゲージ
測定子が対象物に接触し、変位をエンコーダまたは誘導型検出器でデジタル値として出力します。表面粗さの影響を受けにくく、一定の測定力で測定できる機種が多いため、精密寸法検査に適します。測定子の材質や形状を選択できます。
出力信号の種類:アナログ(電圧・電流)vs デジタル
| 出力形式 | 代表的な仕様 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| アナログ電圧出力 | 0~5V / 0~10V / ±5V / ±10V | 高速サンプリング対応。ADコンバータ経由でPCに取込可 |
| アナログ電流出力 | 4~20mA | 長距離配線でのノイズに強い |
| デジタル(RS-232C/RS-485) | シリアル通信 | 測定値をデジタルデータとして出力する方式 |
| デジタル(EtherNet/IP・PROFINET) | 産業用イーサネット | 産業用通信ネットワークに接続して測定値を取り込む方式。高速・多点対応 |
変位センサ主要メーカー比較:キーエンス・オムロン・パナソニック
| メーカー | 代表シリーズ | 得意な方式 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| キーエンス | LKシリーズ(レーザ)、GTシリーズ(接触) | レーザ三角測量・接触式 | 高精度・豊富な機種展開。コントローラ一体型でシステム構築が容易 |
| オムロン | ZXシリーズ(レーザ)、E4Cシリーズ(超音波) | レーザ・超音波 | PLCとの親和性が高い |
| パナソニック | HGシリーズ(レーザ) | レーザ三角測量 | コンパクト設計。ティーチング機能搭載で現場設置が容易 |
| MISUMI取扱品 | 各メーカー品 | 各種メーカー品を取り扱い | 測定方式・測定範囲・分解能で絞り込み選定が可能 |