プラスチック射出成形金型のキャビティ表面温度は、成形品の寸法や外観を左右する重要なファクターです。
金型には通常、冷却回路が設けられており、冷媒(水や油)が供給されて、成形品を冷却します。
キャビティ表面温度は、冷媒の供給温度をコントロールすることによって制御されますが、冷媒の設定温度によって、キャビティの表面温度はいくらになっているのかを、計算によって概略推測することが可能です。
■計算の前提条件
金型の冷却効率が良好な冷却回路が設けられていること。すなわち、十分な長さの冷却回路が、キャビティ近傍に設けられていることが必要です。
■計算式
キャビティ表面温度θ=(pr・θr+pm・θm)/(pr+pm)
- θ
- :キャビティ表面温度(℃)
- pr
- :樹脂の熱浸透率(kcal/m2h1/2)
- pr
- =√(ρr・λr・cr)
- ρr
- :樹脂の比重(kgf/m3)
- λr
- :樹脂の熱伝導率(kcal/mh℃)
- cr
- :樹脂の比熱(kcal/kgf℃)
- pm
- :キャビティの熱浸透率(kcal/m2h1/2)
- pm
- =√(ρm・λm・cm)
- ρm
- :金型の比重(kgf/m3)
- λm
- :金型の熱伝導率(kcal/mh℃)
- cm
- :金型の比熱(kcal/kgf℃)
- θr
- :樹脂温度(℃)
- θm
- :冷媒の温度(℃)
- ※
- 参考文献:『射出成形金型』(三谷景造 (株)シグマ出版 (1997))