プラスチック射出成形金型の表面温度が、室温よりも高い場合には、大気中に自然対流と輻射により熱が放熱される。一方、金型が取り付けられている射出成形機のプラテンとの間では金型がプラテンよりも温度が高い場合には熱伝達によって放熱され、金型の方が温度が低い場合には吸熱することになります。
まず、大気中へ自然対流によって放熱される熱量を計算するには、以下の計算式を使用します。
QCV=As・hs・(θTM -θA)
- QCV
- :金型表面より大気中へ自然対流により放出される熱量(kcal/h)
- As
- :金型の側面表面積(プラテン接触部面積を除く)(m2)
- hs
- :空気の対流による熱伝達率(kcal/m2h℃)
7~8kcal/m2h℃ - θTM
- :金型の温度調節媒体温度(℃)
- θA
- :周囲の環境温度(℃)
より厳密に考えれば、金型表面から大気中への対流伝熱では金型の
- (1)
- 上面
- (2)
- 両側側面
- (3)
- 下面
のそれぞれから放熱される熱量は異なります。
厳密に計算したい場合には熱力学の詳細な計算式をご参照願います。
一般的には、(1)上面と(2)両側側面からの放熱が大きいことが知られています。したがって、上面と両側側面に断熱板を取り付けることで、金型から大気中への対流伝熱を抑える効果が得られます。