自動機の設計能力の向上には、多くの設計経験を持つこと、色々な自動機を見て知識量を増やすことなどが挙げられます。しかし、自動機設計の中でも特に位置決めや加工の高精度化に求められる剛性設計などは、高度設計を経験しなければなかなか体得できない暗黙値があります。ここでは、剛性を図面化するポイントを解説します。
・自動機をはじめ、全ての機械装置には力の作用点があります。
・ほとんどの機械装置は、この力の作用点で加工や組立などの付加価値を上げる処理が成されます。
・また、高速駆動する機械装置の場合は、加速度が変化する位置で慣性力が作用します。
・このような加工力や慣性力は、その反対方向の力となる反力とつりあいを取って機械装置自体が安定して静止できていることとなります。
・機械装置は、この反力に負けない構造体強度を持っていなければなりません。反力に負けない構造体強度とは、機械装置の試用期間を十分に保証できる必要があります。
・反力に負けない構造体強度を設計に盛り込むため、推力計算値に安全率を掛け、実際の推力の数倍の反力に耐えられる機構寸法を採用します。
・しかし、上記の計算強度の設計への盛り込みは、主な設計部分(支持体、ねじ、架台など)のみで、関連する部品全体への反映が漏れる場合があります。
・実際の設計段階での剛性設計では、特に重要部分の設計は製図倍率を1倍で設計を進め、見た目で直感的に弱い構造とならない部品の詳細形状を設計するのがポイントです(【図2】参照)。
・複雑な機構の場合、製図倍率を大きくして設計しがちですが、この場合、剛性設計の直感的判断力が働かなくなっていることに留意が必要です(【図3】参照)。