幾何学で論ずることが出来る、ボールベアリング構造をその組み立て手順を元に解説し、設計する際、理解しておく必要があるボールベアリングの姿かたちについて説明する。
回転ボールベアリングの構造を深溝のボールベアリングを取り上げて示す。図1に一部を断面した深溝軸受を組み立てた外観の写真を示している。
図1.深溝ボールベアリング
構成部品と機能は以下の通りである。
表1.ボールベアリングの構成部品と機能
名称 | 機能 |
---|---|
外輪 | 外径をハウジングにはめ込んで、ボールベアリングを固定する。外輪の内面は、鋼球に合わせた円弧上の形状で、鋼球の固定転がり軌道面となる。 |
内輪 | 内径を軸にはめ込んで、軸の回転運動を得る。内輪の外面は、円弧上の形状で、この回転軌道面を鋼球が転がる。 |
鋼球 | 内輪と外輪間の相対移動を発生する転がり運動を行う。 |
保持器 | ボールを外内輪の間で、等間隔に固定する部品で、この部品内部で鋼球が転がる。転がり面、すべり面の潤滑グリースを保持する。 |
グリース | グリース密封型のボールベアリングは、保持器によってグリース潤滑剤を保持し、転動体の転がり潤滑、保持器との滑り潤滑を行う。 |
深溝軸受の組み立てポイントである鋼球を外輪の間に組み込む手順を説明する。鋼球は内輪を下方向にずらし、広い空間を一部に作り、ここに鋼球を入れた後、保持器で鋼球を所定の位置に固定する。従って、鋼球の径、外輪内輪の寸法で決まる幾何条件によって、取り付けができる鋼球の数は一意的に決まる。 深溝軸受は負荷能力を向上させる目的で、鋼球を最大数内外輪の間に組み込む総玉型のボールベアリングが存在する。この軸受は内輪の一部に鋼球挿入用の切り欠きを設けて、保持器を使用しない構造となっている。
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