「その装置や生産設備は、RoHS2の対象?それとも対象外?」即答できない方は、要チェック!
- RoHS指令とは?
- 改正RoHS指令とは?
- 参考情報:各国RoHSの動向 / RoHS2関連リンク
改正RoHS指令とは? RoHS1との違いは?
2013年1月から有効。段階的に全ての電気電子製品が対象。CEマークの表示義務あり
RoHS1の施行後、適用範囲の不明確さや対象製品の判別困難などの問題が顕在化し、新たに改正RoHS指令が、
2011年7月に公布・施行となりました。 (以下、RoHS2と呼びます。)
RoHS1が2013年1月2日に失効し、2013年1月3日から、RoHS2が有効となっています。
まずは、RoHS1からRoHS2の変更点を、以下にまとめます。大きな変更点は、2点です。
- 対象製品が全ての電気電子製品が対象になる(オープンスコープ化)
- CE宣言書および技術文書作成保管が必要になること
RoHS1 (2002/95/EC) | RoHS2 (2011/65/EU) | |
---|---|---|
規制物質 | 6種類 (Pb、Hg、Cd、Cr6+、PBB、PBDE) | 10種類(Cd、Pb、Hg、Cr6+、PBB、PBDE、DEHP、DBP、BBP、DIBP) |
対象製品 | カテゴリー1~7と10 | 全ての電気電子機器 (カテゴリー1~11) |
適用除外製品 (Exclusion) |
2件 | 10件 |
適用除外用途 (Exemption) |
Annex | Annex III (現行Annex) Annex IV (カテゴリー8&9専用) |
適用除外用途の有効期限 | 4年 | カテゴリー1~7と10: 最大5年 カテゴリー8&9: 最大7年 |
RoHS適合証明方法 | 言及なし | CE宣言書および 技術文書作成保管 |
RoHS2の対象製品と適用開始時期は、以下の通りです。製品により、適用開始時期が違うので、注意が必要です。
No. | 項目 | 適用開始 | CEマーク 表示義務開始 |
|
---|---|---|---|---|
1 | 大型家庭用電気製品 | 2006年7月 | 2013年1月3日 | |
2 | 小型家庭用電気製品 | 2006年7月 | 2013年1月3日 | |
3 | ITおよび遠隔通信機器 | 2006年7月 | 2013年1月3日 | |
4 | 民生用機器 | 2006年7月 | 2013年1月3日 | |
5 | 照明装置 | 2006年7月 | 2013年1月3日 | |
6 | 電動工具 | 2006年7月 | 2013年1月3日 | |
7 | 玩具 | 2006年7月 | 2013年1月3日 | |
8 (追加) |
医療機器 | 医療機器 | 2014年7月22日 | 同左 |
体外診断用医療機器 | 2016年7月22日 | 同左 | ||
9 (追加) |
監視制御機器 | 一般用 | 2014年7月22日 | 同左 |
産業用 | 2017年7月22日 | 同左 | ||
10 | 自動販売機 | 2006年7月 | 2013年1月3日 | |
11 (追加) |
上記カテゴリーに入らないその他の電気電子機器 | 2019年7月22日 | 同左 |
最後に、適用除外製品(Exclusion) 10件とその例を確認します。
生産設備関連では、d) 据付型大型産業用工具と e) 大規模な固定式の設備が対象除外製品となっています。
Article 2.4 |
適用除外製品 (Exclusion) | 例 |
---|---|---|
a | 軍事目的の武器、軍需品及びおよび軍事用機材 | ミサイル、軍事用コンピュータ |
b | 宇宙に置くことを目的として設計された機器 | 衛星、宇宙探査機 |
c | 本指令の範囲から除外されるかまたは該当しない他の種類の機器の一部として特別に設計され、設置される機器であって、当該機器の一部である場合にのみその機能を発揮し、かつ同一の特別に設計された機器によってのみ置き換えることができるもの | 航空機への搭載専用に組み立てられたコンピュータ |
d | 据付型大型産業用工具 | 素材や物の製造や加工用機械(CNC旋盤、橋型フライス・ドリル機器、金属加工プレス機器、新聞印刷機など) 、 ワーク検査用機器(電子ビーム、レーザ、スペクトル、紫外線異常検知システム、回路基板やプリント配線基板の自動組込テスタなど)、クレーン、 その他、同様のサイズ、複雑さ、重量を持つ機械類 |
e | 大規模な固定式の設備 | ロボットや工作機器を含む製造・加工ライン(工業製品、食品、印刷物など)、旅客リフト、コンベヤ輸送システム、自動貯蔵システム、電源供給装置(ジェネレータなど)、 鉄道信号設備、非住居用の固定冷却装置、空調設備、 冷蔵・加熱システム |
f | 人や貨物を運搬する手段、ただし型式認可されていない電動二輪車を除く | 車、商用車、飛行機、電車、船 |
g | 専門的用途に限り利用可能な、道路通行用でない移動体機器 | 油圧掘削機、フォークリフト、路面補修装置、収穫機 |
h | 能動型埋め込み医療機器 | ペースメーカー |
i | 住宅や発電所などのシステム型の太陽光パネル | 太陽電池 |
j | 企業間ベースでのみ利用可能な、研究開発だけを目的として特別に設計された機器 | ワット天秤 |
- EUへ単独で単独で輸出する電気電子機器は、基本的に、RoHS2対応を行い、
CEマーク適合と表示する必要がある。 (2013年1月3日から順次) - 据付型大型産業用工具や大規模な固定式の設備などは、RoHS2の適用除外
製品 (Exclusion)。 - 電気電子機器に組み込まれる電気電子部品については、CE適合ではないが、
RoHS2の規制物質6種類について、許容量以下というポジションも選択可能。
(ただし、EUへの単独輸出は不可。また、組み込まれた電気電子機器において、
CEマークを表示する必要がある。)
参考情報:RoHS2関連リンク
欧州委員会 Directive 2011/65/EU of the European Parliament and of the Council of 8 June 2011
(英語の場合は、ENのhtml, PDF, tiffのいずれかをクリック)
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/en/ALL/?uri=CELEX:32011L0065
欧州委員会 RoHS2 FAQ guidance document(英語)
https://ec.europa.eu/environment/topics/waste-and-recycling/rohs-directive_en