エロージョンとは、機械的に起こる磨耗作用のことで、コロージョンとは、腐食のことです。直訳すると、「磨耗的腐食」ということになります。
配管中を流れる水のように、腐食環境が流動していると、配管内面をこすることになり、流速が低ければ磨耗は起きませんが、流速が高ければ磨耗します。また、流体中に粉体など固体を含む場合には、激しく表面をこすり、機械的磨耗が生じます。
炭素鋼について考えますと、炭素鋼は水や水溶液中で腐食しやすく、腐食すると、表面に錆びが発生します。この錆びは、ステンレス鋼のように、これ以上の錆びの進行を阻止するほどの耐食性はありませんが、錆びが全くない状態に比べると、腐食速度を大幅に低減できます。
しかし、このような状態のときに、流体による磨耗作用が働けば、その腐食生成物は削りとられることになり、新たな炭素鋼の表面が出現します。これに、水中に溶存している酸素が働けば腐食は当然促進されます。つまり、エロージョンによって錆びが取り除かれ、コロージョンによって錆びが発生じるという複合的な作用によって、いずれか一方の作用だけのときよりも、はるかに腐食速度は大きいものになります。
このことは、食塩水に炭素鋼の小片を浸し、表面の一部の決められた場所を、毎日1〜2回、表面の錆びを竹べらのようなものでこすりとると、数ヶ月後には、その部分がへこんでくるといいます。
実際問題として、エロージョン・コロージョンが起き易いケースとしては、高速流の水や塩類の水溶液で、管内に乱流を生じることが多く、またそれ程高速流でなくても、曲がり部や熱交換器の入口などでも、乱流が発生するところがあります。このような場所ではエロージョン・コロージョンを起き易いとして知られております。
液体に固体が混じっていると、エロージョン・コロージョンを非常に発生し易く、石炭をパイプラインで輸送する配管などで、その例がみられます。
気体と液体が混じった状態で配管内を流れる気液二相流や、ミストが混じっている気体もエロージョン・コロージョンを起しやすいといわれています。
錆びに強いといわれているステンレス鋼は、エロージョン・コロージョンに強いといわれています。ステンレス鋼の不動態皮膜は、磨耗作用を受けても直ちに再生されるからであります。しかし、海水ポンプのインペラーなどに使った場合、短時間でエロージョン・コロージョンを起す事例があるといわれています。