向流多段水洗をする前に、僅かな水量で水洗効果の高いスプレー水洗を採用したシステムを【図1】に示します。
このシステムには、二つの特徴があります。
一つは、スプレー洗浄でめっき液のあらかたが除去されますので、第一水洗槽に持ち込まれるめっき液は非常に微量になっていることです。従って、水洗水量を非常に低減することが可能です。
第二の特徴は、スプレー水洗によって得られた比較的濃厚なめっき液は、めっき槽からの自然蒸発量の範囲で、めっき槽に戻すことができる点です。めっき浴の操業温度が比較的高温の場合には、自然蒸発量が多く、【図1】のように容易にめっき液を回収することができます。
もし、蒸発量が少なくて、回収しためっき液を全量戻せない場合には、回収液やめっき液を強制的に蒸発させて、回収させます。めっき液の強制蒸発には、クーリングタワーと同様な原理の「大気蒸発」で行い、水の蒸発潜熱は、めっき槽の加熱装置から供給します。
また、浴温の低い液や分解のおそれのある液には、別の方法としてバッチ式に真空蒸発なども行われています。
めっき液の大気蒸発は、めっき液の温度、めっき液循環量、排気風量、外気の温度・湿度などが大きな影響を与えます。諸条件を【図2】に示しました。