プレス金型部品
- 曲げの形状によっては、上下方向からの曲げでは金型の強度が不足し破損しやすくなるとか、加工が困難といった問題が発生することがよくあります。このようなときには、横(水平)方向から加工することを考えます。その実現手段としてよく使われる方法が、カム機構の利用です。 加工手段と金型の構造を説明しますと、【図1】は一般的なカムを利用したときの手順を示しています。まず通常の工法(L曲げ等)で加工し、問題部分をカム機構を利用して加工するようにします。 【図2】は、カムを利用した曲げの基本的な形を示しています。タグ:
- 切り曲げ加工は切り込み(スリットまたはランスとも呼ばれる)によって形状を作り、切り残した部分を曲げて【図1】(a)(b)のような形を作るのが目的です。切り曲げ形状の用途は、スプリングを引っ掛けるフックや可動部品のストッパーなどに使われることが比較的多いです。タグ:
- U曲げ金型の構造を【図1】に示します。 標準的な設定事項を【図2】に示します。 【図1】に示した構造は、パッド曲げ構造と呼ばれることもあります。パッドとは図の中にあるノックアウトを指しています。ノックアウトのない、単にダイがU字形状に加工されただけの構造もあります。「自由曲げ構造」と呼びます(V曲げ構造と同じ形になります)。タグ:
- プレス加工製品で最も多い形状が、曲げ製品と言えると思います。その曲げ製品の加工の基本となる構造を解説します。 (1)突き曲げ(V曲げ) 2つの支点で受けた材料にパンチを押しつけ形状を作る構造です。【図1】を参照して下さい。最も単純な曲げ構造です。パンチの押し込み具合で曲げの角度が変化します。このような形の曲げ方法を「自由曲げ」と呼びます。自由曲げのときにはダイは【図1】のようにV字形状をしている必要はありません。【図1】のようにパンチとダイの形状を加工したい形状に作り、その間で材料を押さえることで、パンチ・ダイの形状を転写して、目的の形状を作る方法を「突き曲げ」と呼びます。この加工方法の代表的な形状がV曲げであることから、一般にV曲げ加工と呼ばれています。タグ:
- 切断加工はスクラップを出さずにせん断し、分離する加工方法です。この方法が採用できれば、材料の利用率(歩留まり)は最高に高められます。 切断型の基本的な構造を示したものが【図1】です。材料は固定ストリッパのトンネル部分の通過して、突き当てにあたった状態で切断されます。その加工イメージが【図2】です。 切断された左右のバリは逆ですから、そのまま製品に残ります(【図2】参照)。これが1つめの問題です。もう1つの問題が、一つの線で切るところにあります。ダイ上の材料は加工時に生じる曲げモーメントによって跳ね上がり、切断される部分の材料は逆に先端が下に倒れ込みます。平らな状態を保って切断されないので切り口が斜めになります。これが2つめの問題です。 バリの方向に関しては対策はありません。タグ:
- 分断加工はある幅を持ったパンチで材料をせん断し、分離します。シート材やコイル材から、分断によってブランクを作ることもよく行われます。幅のあるパンチでせん断するので、分断した左右のバリ方向は揃います(切断でスクラップを出さずにせん断すると、左右のバリ方向は逆向きとなります)。また、曲げや成形加工品を2つに分断して製品を作る方法も多いです。 このような目的に使用する分断型の構造を示したものが【図1】です。加工状態を現したものが【図2】です。 分断加工を使うことで左右対称な製品を同時に作ったり、方向性のないもの(この例図の形のような形状)では2個取りとなり、生産性が高められます。 違う見方として、成形加工の加工力のバランスをとるために、やむおえず左右対称の成形加工を行い、分断することもあります。タグ:
- 総抜き加工とは、外形と穴を同時に加工する工法です。コンパウンド加工とも呼びます。このような加工を「複合加工」と呼びます。加工は【図1】に示すように、外形は下から上に、穴は上から下に加工します。 外形は逆配置構造の外形抜き構造、穴は可動ストリッパ構造の金型を組み合わせて作られた構造といえます(以前に複合金型構造の作り方として紹介しています)。 総抜き金型構造の基本的な構造が【図2】に示すものです。タグ:
- 穴抜き加工であまり精度を必要としない製品では、作業性のよい固定ストリッパ構造を使うことがよくあります。たとえば、【図】に示すような長い製品の端部に穴を加工するようなときに、固定ストリッパ構造を使うことで作業がしやすくなります。【図】からもわかると思いますが、ストリッパの中に材料を入れ、奥に突き当てた状態で加工をすればよいので作業性がよいのです。 ただし、ストリッパとダイとのすきまが大きいと、材料の金型へのセットは容易になりますが、ストリッピング時にパンチが煽られて破損しやすくなります。すきまは小さい方がいいです。 穴加工の時に材料の押さえが無いので、反りなどの変形がでやすいです。あまり外形に近い穴の加工には適しません。タグ:
- 穴抜き加工では、材料をダイの上に置き加工します。穴の抜きかすは【図1】に示すように下に落ちます。つまりダイを通過して下に落とされます。 ダイの上の材料はパンチで押され跳ね上がろうとします。材料を押さえていないと製品の平面度が悪くなる可能性があります。製品の平面度を確保するには、材料押さえをきかせながら加工することです。この条件を満たす金型構造が【図2】に示す可動ストリッパ構造です。タグ:
- 打ち抜き加工の目的は、固定ストリッパ構造の金型と同じです。固定ストリッパ構造ではダイプレートの上に固定ストリッパが被さっているため、作業している状態が見えないのでいやだ、という人がいます。また、厚い板を打ち抜くと、だんだん反って作業がしづらくなることがあります。このようなことから材料押さえのきく可動ストリッパを使うことがあるのです。 このような構造の打ち抜き型を「可動ストリッパ構造の打ち抜き型」と呼びます。 可動ストリッパ構造は固定ストリッパ構造に比べて、ストリッパボルトやスプリングおよびガイドプレートが多くなります。そのための固定ストリッパより多少コストアップとなります。タグ:
- 打ち抜き加工とは【図1】に示すように、輪郭形状を作る加工です。この輪郭形状はそのままで製品になったり、ときには曲げ加工や絞り加工のブランクであったりします。打ち抜き加工では通常、製品はダイを通過して下に落とされます。このような構造の金型を「抜き打ち型」と呼びます。 打ち抜き型ではパンチとダイを製品形状に合わせて作ります。パンチは打ち抜きクリアランス分だけダイより小さく作ります。 材料を加工すると、パンチには抜きかすが付いてきます。この抜きかすをパンチより外す目的で使われる部品がストリッパです。ストリッパは抜きかすをパンチより外すだけでよいので、ダイプレート側に固定してあっても支障ありません。このような形のストリッパを「固定ストリッパ」と呼びます。タグ:
- 抜き加工のバリはでるものであり、無くすことは難しいです。そのために、加工後にバリを面打ちして取ることはよく行われています。PL問題があり、最近ではバリ取りは増える傾向にあります。 バリを無くす加工方法の一つがここに示す方法です。一般的には「平押し法」と呼ばれる方法です。 この方法はまず【図1】に示すような半抜きを行います。通常、パンチはダイより少し大きくします。このような状態を「マイナスクリアランス」と呼びます。 パンチを材料に押し込むことで、材料はダイに押し出され片面のだれが形成されます。このときのパンチの押し込み量が重要で、材料板厚の75%以上とします。タグ:
- 仕上げ抜きは、きれいな切り口面を得るための抜き加工です。仕上げ抜きではクリアランスをほぼゼロにします。そして、パンチまたはダイの刃先に丸みを付け破断の発生を遅らせることで、きれいな切り口面を作ります。 ブランク加工の時には【図1】に示すようにダイの刃先に丸みを付けます。穴抜き加工の時には、逆にパンチの刃先に丸みを付けます。 刃先に付けるのは丸みが基本ですが、面取りでもOKです。加工力が分散して破断が遅くなるようにすればよいわけです。この加工のポイントは、クリアランスと刃先を殺す(丸みまたは面取りをする)ことにあります。タグ:
- 普通の抜き加工は【図1】(a)のような切り口面となります。この面が、きれいなせん断面の形で欲しいときがあります(輪郭形状や穴または形状の一部)。このようなときに【図1】(b)に示すように、切り口面をわずかに削りきれいな面に仕上げることをします。このような加工方法を「シェービング加工」といいます。 シェービング加工で大事なのは【図1】(b)に示した、取りしろの大きさです。1回の加工で削れる取りしろの大きさは、材料板厚の5%〜10%程度です。例えば軟鋼は5%程度、硬鋼では8〜10%程度また黄銅では10%程度が目安です。 1回のシェービングで不十分なときには、2回、3回とシェービングを繰り返し行うことがあります。 シェービングの方向には【図2】(a)の正置法と【図2】(b)に示す倒置法があります。タグ:
- アウトカット加工では、サイドカットや送り装置を用いて、送り長さ(送りピッチ)ずつ材料を移動させて(送って)加工していきます。この時に、送りピッチのバラツキは製品に影響します。送り誤差を加工の直前に修正する目的で使用されるものが「パイロット」です。 パイロットは基本的には丸穴を利用して、その穴に先のとがった軸(パイロットパンチ)を挿入して誤差を修正します。 穴の利用の仕方に2通りあります。【図1】に示す製品の穴を直接修正用に利用する方法、直接パイロットと呼びます。製品の穴を利用するので無駄がない形となります。欠点としては、パイロットに使用した穴が変形することがあります。材料が銅や純アルミ等の軟質材では注意が必要です。タグ:
- アウトカット加工は、カットアンドキャリーとも呼ばれることもあります。材料を送り長さ(送りピッチ)で移動させ加工するからです。送りピッチが正確でないと加工形状はばらついたものになり、製品とならないこともあります。送りピッチを安定させる目的で使用されるものがサイドカットです。 【図1】はサイドカットの使い方を示したものです。材料の端を送りピッチ分だけ切り欠き、切り欠いた部分をストッパに突き当て送り長さを決めます。切り欠き幅は材料板厚の1.5〜2倍程度が最低値の目安です。 単にL字にカットすると【図2】に示すような凸状のマッチングができます。この様になると材料ガイドに引っかかったりしてトラブルの元となります。また、サイドカットはかす上がりしやすい形状でもあります。特にシンプルなL字カットはかす上がりしやすいです。タグ:
- 順送加工等で外形形状をアウトカット加工で作ると、【図1】に(a)〜(d)で示した切りつなぎ部ができます。切りつなぎ部は、2つのパンチで交叉して作られる形状部分のことをいいます。このような部分を一般的には「マッチング部」といいます。 【図1】で(a)で示した部分は、90度に直交する部分のマッチング部です。(b)で示す部分は直線部にできるマッチング部です。(c)は角度部のマッチング(d)はR部のマッチングです。マッチングはここに示した4パターンが基本です。 90度に直交するマッチング部は特別な処置を必要としません。理想的なマッチング状態といえます。タグ: