プラスチック材料
- ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone、PEEK)は、英国ビクトレックス社が開発した芳香族系熱可塑性プラスチックです。 融点が330℃程度であり、優れた耐熱性を有しています。ガラス繊維で強化することにより、強度を向上させて使用される例が多いようです。 用途としては、半導体や液晶パネルの製造装置部品、プロジェクターのランプ筐体、電池用パッキン、IC用ソケット、コネクター、自動車部品等が挙げられます。 主要な特徴は下記の通りです。
- ポリイミド(Polyimide、PI)は、耐熱性が特に優れた成形材料です。荷重たわみ温度は、250〜360℃とプラスチック材料では最高水準にあります。つい最近では、射出成形が可能なグレードも開発されてきています。 ポリイミドは、全芳香族ポリイミド、半芳香族ポリイミド、熱硬化性ポリイミドがあります。射出成形用には、半芳香族ポリイミドが主に使用されているようです。 実用的な用途例としては、コピー機の加熱ローラー軸受け・断熱軸、半導体製造装置用耐熱トレイ、航空機部品、人工衛星部品などがあります。今後は、自動車部品や電子部品にも採用の可能性があります。 下記のような特徴があります。
- シンジオタクチックポリスチレン(Syndiotactic Polystyrene,SPS)とは、メタロセン触媒を利用して合成されたポリスチレンです。 シンジオタクチックの意味は、立体規則性があるという意味で、下記のような優れた特徴があります。 実用的な用途例としては、計器の筐体、洗面化粧台部品、浴室部材、エアコン部品、自動車用ソレノイド部品等があります。この樹脂は、1985年に出光興産株式会社が開発しています。
- 射出成形加工の原材料であるプラスチック材料は、原油や天然ガス等に含まれている成分を化学合成して生産されています。 実際に射出成形金型を設計する上では、プラスチック材料の成分や化学構造式は、さほど気にかける存在ではありませんが、ここで少し原材料の化学構造式について、振り返ってみましょう。 【表1】には、主要なプラスチックの化学構造式を示しています。 構造式の中の記号は、以下の意味を示しています。 【表1】プラスチック材料の化学構造式
- 前回説明しました、代表的なプラスチック材料についての成形収縮率の目安について、追加をしたいと思います。今回は、エンジニアリングプラスチック(通称エンプラ)をまとめています。 別表には、主要な熱可塑性プラスチックとその成形収縮率、キャビティ表面温度、射出成形圧力を示します。より詳しくは、成形材料メーカーより、グレードごとの材料カタログや技術資料を入手して、意志決定のための資料とするのが一般的です。 *特別に指定がない場合は、ナチュラル材の価を示します。 ■主要なプラスチック材料の成形収縮率一覧表<2>
- プラスチック射出成形金型の設計をするためには、成形収縮率の決定が重要であることはすでに説明をしましたが、今回は、代表的なプラスチック材料についての成形収縮率の目安について説明をしたいと思います。 【表1】には、主要な熱可塑性プラスチックとその成形収縮率、キャビティ表面温度、射出成形圧力を示します。 より詳しくは、成形材料メーカーよりグレードごとの材料カタログや技術資料を入手して意志決定のための資料とするのが一般的です。 *特別に指定がない場合は、ナチュラル材の価を示します。
- 熱可塑性プラスチックの射出成形加工では、成形収縮現象を利用して所望の寸法の成形品を得ることができます。成形収縮とは、金型のキャビティ内部に充填された溶融樹脂が、冷却されて固化する際に、体積が収縮する現象のことです。 この収縮する度合いを「成形収縮率」と呼んでいますが、成形収縮率を科学的かつ経験的に正確に知っていれば、金型のキャビティの寸法を収縮する分だけ一回り大きく製作しておくことにより、ねらい通りの寸法の成形品を成形加工することができます。 成形収縮率の値は、一般的には2/1000〜20/1000程度(0.2〜2%程度)の数値の範囲となります。 成形収縮率をα(アルファ)という記号で表現しますと、下記の【式1】で定義されます。