「はかり」を用いて取引や証明を行う場合、計量法の検定に合格した特定計量器を利用する必要があります。
取引・証明について
「取引」とは、有償であると無償であるとを問わず、物または役務の給付を目的とする業務上の行為をいい、「証明」とは、公にまたは業務上他人に一定の事実が真実である旨を表明することをいう。』と定義されています。(法第2条第2項)
特定計量器について
取引・証明用に使用することができるはかりを「特定計量器」と言います。型式承認をうけた器物で、検定に合格したはかりです。検定に合格した、はかりには必ず、「検定証印」または「基準適合証印」のどちらかが、目盛板や銘板に、表示または刻印されています。計量法時に型式承認を取得したはかりには旧計量法の、H級・M級・O級という精度等級と、新計量法時に型式承認を取得した、1級・2級・3級・4級という精度等級が表示されています。
平成5年に施行された計量法では、最小目盛10mg以上で目盛の数が100以上の非自動はかりが特定計量器に該当します。
取引証明用とは
商取引(商店などでモノを計って売る場合など)の現場ではかりの精度が正確でないと正しい取引ができず困ります。
そのため「計量法」という法律により計量基準を統一することと、計量器の正確さを維持するための検査・管理の方法(トレーサビリティ)が厳密に決められています。結果として「取引および証明」用として適切な「特定計量器」として認定されたはかりについては「検定証印」がつけられています。
〈検定証印〉 | 計量器を製造した際、経済産業大臣、都道府県知事または経済産業大臣が指定した者が行う検査を受け、これに合格したものに付される刻印。 | |
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〈基準適合証印〉 | 経済産業大臣が指定した指定製造事業者(メーカーと思ってください)が計量器を製造した際に検査に合格した計量器に付す刻印。 |
計量法第19条の規定により取引および証明に使用する「はかり」は定期検査の受検が義務づけられています。
取引と見なされる事例
- スーパー、商店などで量目を表記(明示)した商品の売買に使用するはかり
- 工場、事業所などで原材料の購入・製品の販売出荷のために使用するはかり
- 学校、給食センターなどで食材などの購入のために使用するはかり
- 運送業者など(宅配便取次店を含む)が貨物の運賃算出などに使用するはかり
- 農業・漁業で農産物、水産物などの売買、出荷のために使用するはかり
- 病院、調剤薬局などで薬の調剤用に使用するはかり
- 廃棄物処理業者が、処理費用の算定に使用するはかり
- 自動詰込機(自動はかり)により詰め込んだ商品の量目を最終確認するための非自動はかり
- 観光農園や農産物直売所において、料金算定や量目表記のために使用するはかり
証明と見なされる事例
- 保健所(保健センター)、病院、学校、社会福祉施設、幼稚園、保育所、産婦人科医院などで法・条例などに定められた健康診断(体重測定)に使用するはかり(体重計)
ポイント
特定計量器は購入後、2年に1度の定期検査または定期検査に代わる計量士による検査に合格してはじめて取引証明用として継続して使用することができます。特定計量器を購入したからと言って永久的に取引証明用として使用できるものではありません。
精度等級について
特定計量器には精度等級が計量法検査規則に基いて銘板や目盛板に表示がされています。しかし検定を受けていない取引証明以外用のはかりには精度等級は表示されていません。
旧計量法
従来の計量法では、目量と目量の数により下記の3等級に区別されます。
※平成22年8月31日まで製造が認められています。
使用期限の制限はありません。
精度等級 | 目量など | 目量の数 |
---|---|---|
H級 | 0.01g以上 0.05g以下 | 2001以上 |
0.1g以上 | 10001以上 | |
M級 | 0.01g以上 0.05g以下 | 100以上 2000以下 |
0.1g以上 0.5g以下 | 100以上 10000以下 | |
1g以上 | 1001以上 10000以下 | |
O級 | 1g以上 | 100以上 1000以下 |
新計量法
新計量法では、目量と目量の数により下記の4等級に区別されます。
精度等級 | 目量など | 目量の数 |
---|---|---|
一級 | 0.01g以上 | 50000以上 |
二級 | 0.01g以上 0.05g以下 | 100以上 100000以下 |
0.1g以上 | 5000以上 100000以下 | |
三級 | 0.1g以上 2g以下 | 100以上 10000以下 |
5g以上 | 500以上 10000以下 | |
四級 | 5g以上 | 100以上 1000以下 |
ココミテvol.2より参考