据付方法
(A) 軸の配置
水平の場合
両軸が水平になるように配置する場合であっても、軸の回転方向によっては考慮する必要があります。図中の(2)および(3)の例はチェーンが伸びた場合スプロケットの歯とチェーンの離れが悪くなり、かみこむおそれがあります。(3)においては特に上側と下側のチェーンが接触することがありますのでアイドラー等を使用してください。
(回転方向を変えるかアイドラーをご使用ください。)
垂直の場合
チェーンが伸びますと(5)のようにたわみ、小スプロケットを下側に使用した場合はチェーンがはずれることがあります。このため(4)のように60°以下の角度でご使用ください。機構またはスペースの関係で垂直に使用しなければならない時は、大スプロケットを下側にし、(6)のように外側または内側にアイドラー等を使用することをおすすめします。
(B) たわみ量
たわみ量は一般に軸間距離の4%程度とし、次の場合は2%程度とします。
- イ. 垂直伝動あるいはそれに近い場合
- ロ. 軸間距離が1m以上の場合
- ハ. 重荷重で始動停止をひんぱんに行う必要のある場合
- ニ. 逆転を必要とする場合
(C) 荷重が変動する場合
チェーンの張側またはたわみ側にテンショナを付け、あらかじめ初張力を与えておきますと、運転時のチェーンの振動を除去し、騒音が小さくなります。
潤滑
潤滑はローラチェーンにとって最も重要で、潤滑の良否がチェーンの寿命を左右します。特に近年のように高速度で使用される場合が多くなりますと、効率の高い潤滑方法をとらなければなりません。
潤滑油の効果
ピン、ブッシュ、ローラのすきまに油をさしますと、油膜を形成します。この油膜が部品の摩耗を押え、衝撃に対してはクッションとしてはたらきます。またチェーンに発生した熱をうばう冷却効果もあります。ローラチェーンの潤滑油は一般には良質の鉱油を使用してください。
適正潤滑油
潤滑形式 | A・B | C | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
-10~0 | 0~40 | 40~50 | 50~60 | -10~0 | 0~40 | 40~50 | 50~60 | |
CHE25~50 | SAE10 | SAE20 | SAE30 | SAE40 | SAE10 | SAE20 | SAE30 | SAE40 |
CHE60~80 | SAE20 | SAE30 | SAE40 | SAE50 |
潤滑形式 (伝動能力表に示している潤滑形式はこの表に従っています。)
潤 滑 形 式 |
名称および方法 | 給油間隔および給油量 | 注意事項 |
---|---|---|---|
A | 油差し又はブラシによる定期的給油で、一般には最低1日1回は給油してください。 | チェーンをゆっくり回しながら給油し、全長3~4回ムラなく行ってください。但し、給油中に手や衣類が巻き込まれないように注意してください。又、給油後始動時に余分な油が飛び散りますので注意が必要です。 | |
1分間に5~20滴程度の油量を給油してください。 | この場合、油の飛散がありますので簡単なケーシングを設けることをおすすめします。 | ||
B | チェーンが油中に浸る深さは油面より10mm程度としてください。 | 油もれのしないケースを用いることは言うまでもありませんが、使用当初ケース内を十分洗浄し塵埃等の異物は完全に除去してください。油量が上昇しないようご注意ください。 | |
回転板によりチェーンに油をかける方法で、油中に浸る回転板の深さは20mm程度とし、周速は200m/分以上にしてください。 | |||
C | 給油量は、異常発熱をきたさないように適時設定する必要があります。 | 油もれのしないケースを用いることは言うまでもありませんが、使用当初ケース内を十分洗浄し塵埃等の異物は完全に除去してください。 |