これから、いろいろな塗料についての説明を行います。
(1)油性塗料
乾性油を主成分とした塗料を総称して油性塗料といいます。
乾性油とは、あまに油、桐油のことで、これには油ペイントと油エナメルがあります。油ペイントは塗膜構成要素であるボイル油と顔料の混合物であり、油エナメルは油ワニスと顔料で構成されます。
即ち、ボイル油=油(原則として溶剤を含まないもの)
油ワニス=油+樹脂+溶剤
(1)ボイル油および油ペイント
乾性油(あまに油、桐油など)、半乾性油(大豆油、サンフラワー油など)に空気を吹き込んで加熱重合した重合油に乾燥剤を添加したものがボイル油です。
これに亜鉛華、チタン白、カーボンブラックなどを混合した塗料が油ペイントであります。この塗料の特徴は、乾燥は遅いが、刷毛さばきがよく耐久性に優れているので、鉄鋼、木材などの構造物の屋内外塗装に用いられています。
(2)油ワニスおよび油エナメル
油ワニスは、樹脂と乾性油を熱重合し、ミネラルスピリット、乾燥剤を添加したもので、樹脂には硬化ロジン、エステルガム、油溶性フェノール樹脂などが用いられます。油ワニスに顔料を添加したものが油エナメルです。
油ワニスには、スーパーワニス、コーパルワニス、ボデェーワニス、つやなしワニスなどがあり、主として木工製品に使われています。
また、油性下地塗料として、オイルプライマー、オイルパテ、オイルサーフェーサーなどがあります。
(2)うるし及びカシュウ樹脂塗料
(1)うるし
日本・中国・ビルマ・タイ・ラオスなど東洋特産の漆樹木の幹に切り傷をつけ、そこから分泌する樹液を集めたものが原料で、古くから用いられてきました。日本・韓国・中国産の漆の主成分はウルシオールで、これの含有量の多いものが良質とされています。
漆の特徴は、その乾燥方法で、乾いた空気の中では乾燥(固化)しません。多湿でやや高温の梅雨時のような条件でよく乾燥します。
(2)カシュー樹脂塗料
カシューの木の実からとれる漆とよく似た液体で、これにアルカロイドを縮合または重合させて塗料とします。漆の欠点であるかぶれがなく、特別の乾燥設備も必要とせずに漆の代用として漆器・工芸品・家具などの分野で広く使われています。