自動車、鉄道車両、船舶、機械など多くの分野で、乗り心地向上、騒音防止のために防振塗料や制振塗料が使われています。また、ビルなどには水道管、ガス管など多数の配管がされていますが、これらの配管を媒体として伝わる振動による騒音も問題になっています。さらには多数の配管を有する化学プラントでも、多数の振動が相乗して事故にならないよう防振対策は安全対策の要になっています。

 防振塗料には、減衰性、密着性、作業性などの特性が要求されます。通常かなりの膜厚で使用されますので、単位面積当りの重量、価格も重要です。このほか自動車車体に使用する場合には、高度な密着性のほかに、砂漠の炎熱や寒冷地の低温に耐えることや、塗装焼付け温度に耐えることが要求されます。

 防振塗料には、アスファルト(瀝青)系、エポキシ系、フタル酸系、エマルジョン系、塩ビ系などの種類があります。それらの特徴をあげると【表】の通りです。

【表】防振塗料の種類と特徴

ビヒクルの種類特徴
瀝青系安価で作業性に優れ、常温付近での効果が大きい。溶剤タイプであるので、常温乾燥・加熱乾燥いずれでも可能。最もよく利用されている。
エポキシ系Aタイプ高温領域での効果が大きく、熱を発生する部位の対策に最適。欠点としては高価なこと。二液タイプであるため作業性に難あり。
BタイプAタイプより若干低温領域での効果をもたせたもの。欠点としては高価で作業性に難がある。
フタル酸系瀝青系とエポキシ系の中間で、瀝青系についで利用されている。
エマルジョン系常温付近に最大の効果があり、溶剤を使用しないので火事に安全、コストもやすい。
塩ビ系常温より低温領域での効果が大きいので、一般には防振塗料としての使用は少ない。使用部位が限定される。

 防振のためには厚膜が必要で、そのために多量の充填剤の添加が行われます。昔から減衰特性向上のためにアスベストが使われてきましたが、健康上使用を止めました。現在では、鱗片状充填剤、けい砂、石膏、各種繊維、炭酸カルシウム、タルクなどが用いられています。
 防振塗料の代表的塗膜形成成分は、ビヒクル(アスファルト+合成高分子)、キルン灰、充填剤(炭酸カルシウム、けい酸マグネシウム、タルク、けい酸アルミニウムなど)であります。