プレス金型では、どういう訳か締結用のねじは六角穴付きボルト(JISB1176)が使われています。昔は六角ボルトや皿ビスなども使われていましたがなくなっていき、自然に標準化された部品です。六角穴付きボルトそのものの詳細な規格内容は、JISまたはミスミカタログの技術データ部分をご覧下さい。
残念なことに、締結ねじの使い方を明確に示す資料はありません。そのために金型設計者を「こんな事は聞けない、でもわからない」と悩ませるものです。みんな最初はそうだったのですから、安心しましょう。そのうちに使い方の感覚が養われ、当たり前になります。
そろそろ本題に入りましょう。締結ねじの使い方は、2つに分けるとわかりやすいです。プレート部品とブロック部品です。
(1)ブロック部品(入れ子、パンチ等のイメージ)の締結ねじ
ブロック部品は、【図1】に示すような締結ねじの使い方が多いと思います。
【図】に示すA寸法の最小値をねじ径(D)として、ブロックの大きさから使用可能な太いねじを選ぶようにします(ねじの破損対策)。
1つの金型内に大小のブロックが混在するときに個々に判断してねじのサイズを決めると、太い/細いねじが混ざってしまい、金型の組立、分解が不便になりますから、ねじのサイズは統一するようにします。
(2)プレート部品の締結ねじ
プレート部品では、【図2】に示すようにプレート縁からの寸法(B)とねじ間ピッチ(F)及び【図3】に示すプレートの厚さとの関係を組み合わせて考え、ねじサイズを決めます。プレートのW寸法に着目して、B寸法を最小値の2倍程度としてF寸法とプレート厚さの関係から考えるとわかりやすいと思います。
プレートが大きくなると、ねじは周囲に配置するだけでは不十分となります。そのようなときには、【図4】に示す感覚でプレート内のねじ配置を決めます。
(3)ねじ径とタップ深さ
ねじ径に対して、ねじがどのくらい深くまで入れば締結に問題がないかがあります。これはタップ加工の深さと関連します。一般的にはタップ深さはねじ径の1.5倍〜2.5倍程度として、ねじの入る深さが最小でねじ径と同じ、深い状態でねじ径の2倍を目安とします。特別な問題がないときには、ねじは径の1.5倍以上締め込まれることを標準とするとよいでしょう。