【図1】に示した製品形状には、いくつかの問題点があります。抜き加工でどの場合でも言われることが、Rの無い角です。パンチまたはダイの角がチッピング(パンチ等の角が細かく欠けて欠落すること。バリ発生の原因となる)を起こしやすいため、角に材料板厚の1/2以上、できれば板厚分程度の丸みを付けるようにします。
穴の外形と接近した部分が、目安として材料板厚の2倍以下になると、外形抜きに伴って変形を起こします。この原因は側方力と曲げモーメントによるねじれです。丸穴では側方力の影響が大きく、穴の変形(小さくなる)がおきます。
直線部分のある穴では、穴の変形と直線部分のねじれの両方の影響を受けます。穴位置をずらすことが必要です。穴の移動が無理なときにはこの工法は使わないで、材料を押さえ抜きする工法に変える必要があります。
溝幅が材料板厚の2倍以下で深い溝(目安として溝幅の5倍以上)は、ブランク抜きで加工するとダイが破損しやすくなります。対策としては、ブランク抜きからこの形状を外し、穴抜きで処理するようにします。この形にすると、穴抜きで処理した外形部分とブランク抜きとした部分でバリ方向が変わるので注意が必要です。どうしてもバリ方向を揃えなければいけないときには、破損しやすいダイの部分を入れ子(インサート)方式にしてメンテナンスをしやすくしておきます。