プラスチック射出成形金型のキャビティ、コアに使用される金属材料は、圧倒的に炭素鋼が多いのですが、一部の金型では軽量化や熱電導を考慮するために、アルミニウム合金を採用することがあります。
アルミニウムは元素番号13の軽金属ですが、亜鉛等の金属と合金にすることで、硬さや強度を改善することができます。金型に使用されるのは、このような合金タイプのアルミニウムです。
アルミニウム合金のなかで有名なものにジュラルミンがあります。ジュラルミンは軽量で強く、ある程度の硬さを有しています。アタッシュケースに使用されていますので、皆さんもイメージしやすいのではないでしょうか。金型に使用されるアルミニウムもほとんどはジュラルミン系の材料で、さらに強度等を改善した超ジュラルミン、超超ジュラルミンという種類もがあります。
アルミニウム合金の主な特徴は以下の通りです。
- 軽量
- 熱伝導性が良好
- 削りやすい
- 耐食性がある。
代表的なアルミニウム合金であるA7075は、以下の成分を含んでいます。
銅 | 1.2~2% |
マグネシウム | 2.1~2.9% |
亜鉛 | 5.1~6.1% |
クロム | 0.18~0.35% |
アルミニウム合金の表面は酸化皮膜が形成されるので耐食性も良好ですが、硬度が十分ではないために、ガラス繊維入り樹脂や硬度の高い樹脂の金型には適していません。
また、溶接修理には特別な技量が求められるので、金型の機械加工時の工作ミスや金型修繕には対応する設備が必要になります。
このような特性を理解し、アルミニウム合金を活用することで、軽量でコストダウン可能な金型を実現している企業もあります。