問題
【図1】に示すSKH51(高速度鋼)ピンポイントゲートブシュの側壁の厚さは、いくらに設定すれば良いか? ただし、成形材料は、PC樹脂(ポリカーボネード)ナチュラル材を使用するものとする。 |
解答例
ピンポイントゲートブシュ外形半径Rは、次式で計算をします。
これに各変数の数値を代入してゆきます。 まず、ピンポイントゲートブシュ内圧力pですが、成形材料がPC樹脂ですので、 p=650kgf/cm2と仮定します。 次に、ピンポイントゲートブシュ内側半径寸法は、【図2】のように近似し、r=3mmと想定します。 さらに、ピンポイントゲートブシュの接戦方向許容応力は、SKH51の場合、1500〜1800(kgf/cm2)の値となります。 強度計算を最も不利な条件で計算するものとし、 =1500(kgf/cm2)と仮定します。 |
したがいまして、
となります。
これに余裕を考慮し、区切りのよい数値に丸めますと、R=5mm程度または6mm程度が推奨されます。
つまり、ピンポイントゲートブシュの外形寸法φDは、
R×2=(5〜6)×2
=10〜12(mm)
程度が必要となります。
ポリカーボネードは、充てん圧力Pが高めな樹脂ですので、Pを700〜750kgf/cm2に想定して、
より安全側に強度計算をした方がよい場合もあります。
また、ゲート先端直径φAを広げることで、Rを低くおさえる効果もあります。
これらは、成形品の用途等を総合的に検討して決定します。