プラスチック成形金型で、1ショットで成形加工できるキャビティの数を、取り個数(number of cavity)と言います。
取り個数は、最小は1個取りから最大では192個取りぐらいまで実績があります。
取り個数が多ければ多いほど、1ショットあたりの成形品の数は多くなりますから、部品1個あたりの生産コストを低減させることができます。
しかし、取り個数が多くなると、キャビティごとの成形品の寸法や重量、外観等の品質のばらつきが大きくなる傾向にあります。
取り個数の大小は、長所と短所を総合的に検討して決める必要があります。
一般的には取り個数は、金型の種類によって以下のような傾向が見られます。
- ○大型の成形品…基本的に1個取り
- ■理由
- 金型が大きいので、2個取り以上にすることが物理的に困難なため。
- ○自動車・家電等の中型・小型成形品…4~8個取り程度
- ■理由
- 総生産数量と品質ばらつきの関係を考慮して、経験上リスクが低くなるのがこの程度の取り個数です。
- ○電子部品・精密部品…2または4個取り
- ■理由
- 成形品の品質ばらつきを重要視して少数個取りにするため。
- ○食品容器など…24〜64個取りまたはそれ以上(ホットランナー仕様)
- ■理由
- 数百万個以上の生産数量を見込むため、取り個数を大きくして、生産コストを低減させるため。
- ○新商品の金型…1個取り
- ■理由
- 新商品は市場での売れ行きが不透明なため、まず1型1個取りで金型を起工し、売れ行き良好な場合には取り個数を増やした増面型を起工して対応するため。