キャビティやコアの設計を進める上で、部品形状の変更を検討した方が良い場合があります。例えば、下記のような場面が考えられます。
- コアピンの破損を防止したい場合
- 成形品の離型をしやすくしたい場合
- 金型の組み立てをしやすくしたい場合
- 金型のメンテナンスを工夫したい場合
- キャビティサイズをコンパクトにしたい場合
このような場合には、一般に次のような形状変更の手法が検討されます。
(1)シャープコーナー → Rを設ける(【例1】参照)
凸形状の根元にシャープコーナー(角)があると、曲げ応力やねじり応力が作用した場合に応力集中が発生し、破損しやすくなってしまいます。応力集中とは、ある部分に応力が集中的に作用してしまう現象で、材料力学的には、最大で一般に作用している応力の最大で3倍もの応力が作用してしまいます。
応力集中を緩和するためには、シャープコーナー部にできるだけ大きなRを設けることが有効です。
(2)直角 → 角度を設ける(【例1】参照)
コアピンに成形品が抱きつく構造等の場合、離型をしやすくするために抜き勾配の角度を設ける場合があります。
(3)一体部品 → 分割する(【例2】参照)
破損しやすい部品を交換できるように分割したり、エアーベントを設けるために分割する場合があります。
(4)分割部品 → 一体部品(【例3】参照)
分割してボルト締結してある部品を一体化することにより、コンパクト化したい場合や強度を向上させたい場合に検討される方法です。