「円筒型キャビティ」の強度計算の演習問題です。前回解説しました「円筒型キャビティ」の側壁厚さの強度計算について、演習問題を解いてみましょう。
問題
【図1】に示すSKD11(冷間ダイス鋼)製キャビティの側壁の厚さは、いくらに設定すれば良いか? ただし、成形材料は、PP樹脂(ポリプロピレン)ナチュラル材を使用するものとする。 |
解答例
キャビティ外形半径Rは、次式で計算をします。
これに各変数の数値を代入してゆきます。
まず、キャビティ内圧力pですが、成形材料がPP樹脂ですので、
p=300kgf/cm2と仮定します。
次に、キャビティ内側半径寸法は、【図1】より5mmとなります。
さらに、キャビティの接戦方向許容応力σtは、SKD11の場合、表1(前掲)より1500〜1800(kgf/cm2)の値となります。
強度計算を最も不利な条件で計算するものとし、
σt=1500(kgf/cm2)と仮定します。
したがいまして、R=6.12mmとなります。
これに余裕を考慮し、区切りのよい数値に丸めますと、R=8mm程度または10mm程度が推奨されます。
つまり、キャビティ側壁の厚さは、R-rで計算できますので、
8-5=3mm、若しくは10-5=5mm程度が推奨されます。