前回解説しました「底面が一体構造の長方形キャビティ」の側壁厚さの強度計算について、演習問題を解いてみましょう。
問題
【図1】に示す、SCM440系プリハードン鋼製キャビティの側壁を厚さは、いくらに設定すれば良いか? ただし、キャビティ側壁の許容最大たわみは、0.01mm、成形材料は、ABS樹脂を使用するものとする。 |
解答例
キャビティ側壁の厚さhは、次式で計算をします。
これに各変数の数値を代入してゆきます。
まず、cを求めるためにl/aの比を計算します。
【図1】よりl=40mm、a=10mmとなりますので、
l/a=40/10=4となります。
したがって、表1(前掲)より、c=0.140となります。
次に、キャビティ内圧力pですが、成形材料がABS樹脂ですので、
p=400kgf/cm2と仮定します。
次に、キャビティ内側の長さlは、【図1】より40mmとなります。
次に、キャビティ内圧力p受厚部の側壁の高さaも、【図1】より10mmとなります。
さらに、縦弾性係数Eは、SCM440系プリハードン鋼の場合、
203kgf/cm2となります。
最後に、許容最大たわみδmaxは、前提条件より0.01mmとなります。
これらを代入して計算しますと
h=2.9mmとなります。
これに余裕を考慮し、区切りのよい数値に丸めますと、
h=5mm程度が推奨されます。