キャビティ(固定側入れ子)の外形寸法はどのようにして決めていますか?
多くの場合は、過去の類似金型の寸法を参考にしたり、経験と勘で決めているのが実状のようです。
正しい寸法の決定手順を知っておけば、金型が樹脂圧力で破壊する事故の危険性から解放され、また必要以上に頑丈でしかも大きな金型を製作する無駄を省くことができます。
以下に正しい寸法の決定手順を説明します。
手順1:最小壁厚さの計算
キャビティは、鋼材ブロックに凹み形状を彫り込んで製作されています。彫り込まれた成形品の反転形状と鋼材外形の間の壁の厚さhは、ある特定の厚みがないと、樹脂の充填圧力によって割れたり、大きな変形をしたりします。
この厚みは、材料力学の計算式を応用してあてはめることにより、理論計算により推奨値を計算で求めることができます。
計算式は、
によって異なりますので、適切な計算式を選択します。
- (1)
- キャビティの外形形状(立方体or円柱等)
- (2)
- キャビティの構造(一体or分割等)
計算式に代入するデータは、成形条件や鋼材の種類等を考慮して決定します。
計算の前提条件を最悪の場合、最良の場合と複数の仮定をし、計算結果を比較することもプロのテクニックです。
計算により求められたhにさらに余裕率を考慮して、理論所の最小壁厚さを決定します。
手順2:キャビティ
計算により求められたhでキャビティの外形を決定しますと、キャビティを型板等に固定する際に、ねじ穴の加工やつばの寸法が充分に確保できない場合があります。
このような場合には、これらが適切に配置できる寸法を確保し、最終的なキャビティはできるだけ整数の偶数で、きりの良い値を選択します。(例:50mm、80mm)