プラスチック射出成形での成形不良の中で、厄介なものの1つがガスによる不良です。
ガス逃げが機能できない場合、ガス焼けにより成形品が黒変したり、不定期にショートモールド(充填不良)が発生したり、あるいは成形品の表面に光沢むらが発生したりします。
パーティング面に設けたガスベントから、ガスやキャビティ内の残存エアーを排出できれば良いのですが、リブや壁形状などにより排出がままならない場合には、どのようにするのがよいのでしょうか。
問題解決のための手段の1つは、入れ子分断により分断面の隙間から、ガスを排出する方法があります。これは効率的ではありますが、その都度金型の形状に合わせた部品加工をしなければならず、金型製作コストの面から不利を強いられることになります。
そこで、標準の入れ子にあらかじめ標準化された分断面と、さらに意図的に設けられたガスベントを複数内蔵するのが「ガス抜き入れ子BGVシリーズ」です。
BGVシリーズは、6枚〜12枚の分断プレートに、3列または4列のガスベント列を設け、深さ0.03mmまたは0.05mmのベントが切られています。
入れ子の材質は、現状のラインナップではS50Cを採用しておりますので、入れ子をキャビティに埋め込んだ後に、切削加工や放電加工により、組み込み後同時加工が可能です。
自動車部品や家電製品などの比較的大きなサイズの射出成形品用の金型製作の際に、この部品を使用すると、低価格で高パフォーマンスなガス抜きを行うことができます。
樹脂の種類や成形条件によって、ガスベントの深さは適宜選択が可能です。