プラスチック射出成形用金型のシボ加工は、機械加工や磨き作業が全て終了した後に行う処理でありますから、出来栄えが所望の品質でなかった場合には修正や、修正が不可能なほどダメージが大きい場合には作り変えを行わねばなりません。金型を計画されたスケジュール通りに予算内で完成させるためには、しぼ加工は大変大きなリスクを背負っている最終工程であることが理解できると思います。
シボ加工における不具合の発生リスクを低減させるためには、以下のポイントに留意することが大切です。
- (1)
- シボ加工を施すキャビティ表面をサンドペーパーや砥粒で丁寧に磨いて、マイクロクラックや機械加工による表面変質層を取り除く。
- (2)
- キャビティの材質にはボイド(気泡)、不純物混入、炭化物混入などの材料欠陥が含まれる確率の低い鋼材を選定する。
- (3)
- 溶接補修した部分にはシボ加工を行わない。(むらになる)
- (4)
- 鋼材の熱処理、切り出し方向、圧延方向はできるだけ同一にする。
- (5)
- キャビティ側面の処理では、抜き勾配をできるだけ大きく設定する。
- (6)
- キャビティ側面に処理する場合には、成形品の肉厚を厚くして収縮量を意図的に大きくさせる。
- (7)
- キャビティ表面の温度制御がしやすい構造の冷却構造、カートリッジヒーター構造を採用する。
- (8)
- シボ加工した後に機械加工するように工程変更をした方が、より良い出来上がりになる場合もある。
- (9)
- 成形材料の種類、着色、ガラス繊維の配合などによっても、シボの出来栄えは視覚的に変動するので、過去のデータを重要視してシボの種類、深さ等を選定する。