プラスチック射出成形金型の性能を定量的に評価する方法は、日本ではまだ定着しておりませんが、投資金額に見合うパフォーマンスかどうかを客観的に算定することは重要です。
一般的に金型の性能評価は、下記の事項について行われているようです。
- 成形加工能力
単位時間あたりの成形品の生産可能数量です。
1時間あたりの生産可能数量によって評価します。生産可能数量に利益金額を掛ければ、単位時間あたりの粗利金額を算出することができます。
1ショットの成形サイクル、取り個数によって、成形加工能力は算出することができます。 - 不良率
射出成形加工を量産で実施している場合の不良率です。
不良品が混入しておりますと、その選別管理、ロット不良の対応費用が発生しますので、不良率の低い金型は性能が良いということになります。 - メンテナンス周期
プラスチック射出成形加工を量産ですすめていく過程では、ガス詰まりやかじりなどの対処として、分解メンテナンスが必須として行わなければなりません。金型のメンテナンスには数時間から数日の単位で日数が必要になり、その間のメンテナンス費用が生じ、また成形加工ができない分の売り上げ減少が生じます。
したがってメンテナンス周期が長い金型は性能が良いと評価されます。 - 金型コスト
金型を製作するコスト(イニシャルコスト)と維持管理するコスト(ランニングコスト)を総合計したものが金型の製作維持トータルコストになります。このコストが低ければ投資効率が良いということに評価されます。
イニシャルコストは安いが、ランニングコストが高い場合には、結局はトータルコストは高くつく場合があります。
金型の想定寿命との兼ね合いで金型コストの適正な評価が重要になります。 - 総合評価
1~4までの評価を総合的に評価します。金型の置かれる立場によって評価の重要度は変動します。