MEMSとは(MIcro Electoro Mechanical Systems、マイクロ電気機械システム)であり、マイクロマシンや分析装置、反応装置などの機器がこの分野に含まれています。また、バイオテクノロジー(生物化学)やゲノムテクノロジーなどの分野と、MEMSを含めたより広い分野は「マイクロ化学システム」とも呼ばれています。
このような新しい分野の機器は、薬品の合成、化学分析、DNA分析、医学的診断などの用途で、あたらしい市場を作り上げようとしています。
例えば下記のような分野で実用化が進んでいます。
・ | 免疫分析法 | |
・ | マイクロ細胞培養 | |
・ | 化学合成 | |
・ | 高効率反応 |
これらの分野では、新しいタイプのプラスチック射出成形金型の開発が必要になってくると考えられています。例えば、薬剤を化学反応させるためのマイクロ流路(幅20〜50ミクロンメートル、高さ30〜50ミクロンメートル程度の溝型の経路を持った透明ガラス製のチップ)は、現在既に実用化されつつありますが、1枚あたりのコストが数万円もする高価な部品です。これらを安価に製造する方法として、透明なプラスチックで射出成形する方法が考えられます。このような部品を成形加工するためには、マイクロ流路の凸形状を有するコアを、金型に加工する工作技術が必要になってきます。
そのために、マイクロエンドミルによる超微細加工や、フォトリソグラフィによる積層造形技術の開発が重要です。
さらに、金型を用いて射出成形するためには、微量のプラスチックを正確な体積だけ、安定して金型内へ射出注入する成形機と成形条件の確立が必要になってきます。
これらの金型技術や射出成形技術がターゲットとする市場規模は、数千億円〜数兆円規模と見積もる向きもあって、新しい産業分野として世界中が注目しています。
金型技術や射出成形技術も、従来の改善の延長だけではブレークスルーできない領域が含まれていることから、発想の転換や研究開発型の金型開発が求められます。