プラスチック射出成形金型の設計製作の世界では、他の機械設計製作の分野よりも比較的早く標準化が普及してきたと言えるでしょう。
(株)ミスミもその一翼を担ってきたわけですが、あらためて設計製作の標準化がもたらすメリットとデメリットについて、比較考量をしてみたいと思います。
設計製作標準化のメリット
- 設計時間を短縮することができる。
したがって、設計納期が短くなり、設計コストも低減される。 - 機械加工時間・仕上げ調整時間を短縮することができる。
したがって、部品製作時間が短くなり、製作コストも低減される。 - 機械設備の台数を増設しなくて良い。
購入に依存できるために、自社内に機械設備を増設する必要がなくなる。したがって、固定費(原価償却費)を増やさなくて済む。 - メンテナンス時の互換性が向上する。
標準部品を使用することにより、交換部品の仕様が統一化できるので、互換性が優れる。 - 海外輸出時のメンテナンスが対応しやすい。
海外へ輸出した金型のメンテナンスをする際に、現地で同じ標準部品を調達できれば、対応がスピーディである。 - 発注管理コストが低減される。
発注事務や経理処理の手間が省け、結果的にコストダウンにつながる。
設計製作標準化のデメリット
- 金型設計の基礎知識が、新人設計者に伝承しにくくなる可能性がある。
- 社内の基礎部品加工技術が失われる可能性がある。
標準化によるデメリットを担保するためには、社内での設計研修や補修部品の社内製作を実施されたりする企業さんもあります。
総合的に利害得失を考えますと、金型の設計製作技術の標準化は、より一層推進することが有利であると思います。