前回解説した可動側型板の受け板厚さの決定について、ケーススタディを行ってみましょう。
問題
右図に示す構造の可動側型板において、受け板の厚さhはどのぐらいとするのが適当でしょうか。
ただし、型板その他の部材の材質は、S50C、使用する樹脂は、HIPSナチュラル材である。
解答例
受け板の厚さhは、次式で計算されます。
右図より下記のデータが前提条件として与えられます。
型板の幅:B=200mm
スペーサーブロック内側の間隔:L=90mm
キャビティ内圧pを受ける部分の長さ:l=8mm
キャビティ内圧pを受ける部分の幅:b=25mm
キャビティ内圧:p=350kgf/cm2
材料の縦弾性係数:E=210×104kgf/cm2
ここで、計算に必要なデータで不明なのは、許容される最大たわみδmaxです。この値は、使用される樹脂がHIPS(ハイインパクト・スチロール)ですので、流動性はとりわけ良好である訳ではありませんので、
δmax=0.03〜0.05(mm)
程度が目安となります。
したがって
となります。
区切りの良い寸法として丸めて、h=20mmとすることに意志決定します。