プラスチック成形金型に使用される鋼材は、鉄-炭素系の合金(いわゆる鋼(はがね))が基本的な材料になります。
代表的な鋼の種類については、基礎知識としてその化学成分を知っておくと、熱処理や機械特性などを考慮する際に有益です。
こちらにその一覧データを紹介します。
鋼種名 | JIS記号 | 化学成分含有比率(%) | |||||||||
C | Si | Mn | P | S | Ni | Cr | Mo | W | V | ||
一般構造用圧延鋼材 | SS400 | 0.06 | 0.06 | ||||||||
機械構造用炭素鋼 | S50C | 0.45 -0.55 |
0.15 -0.40 |
0.40 -0.85 |
0.035 | 0.04 | |||||
クロムモリブデン鋼 | SCM3 | 0.33 -0.38 |
0.15 -0.35 |
0.60 -0.85 |
0.03 | 0.03 | 0.90 -1.20 |
0.15 -0.35 |
|||
ステンレス鋼 | SUS23 | 0.25 -0.40 |
0.75 | 1.00 | 0.04 | 0.03 | 12 -14 |
||||
炭素工具鋼 | SK5 | 0.80 -0.90 |
0.35 | 0.50 | 0.03 | 0.03 | |||||
合金工具鋼 | SKS3 | 0.90 -1.00 |
0.35 | 0.90 -1.20 |
0.03 | 0.03 | 0.50 -1.00 |
0.50 -1.00 |
|||
合金工具鋼熱間ダイス鋼 | SKD61 | 0.32 -0.42 |
0.80 -1.20 |
0.50 | 0.03 | 0.03 | 4.50 -5.00 |
1.00 -1.50 |
0.8 -1.2 |
||
合金工具鋼冷間ダイス鋼 | SKD11 | 1.40 -1.60 |
0.40 | 0.50 | 0.03 | 0.03 | 11.0 -13.0 |
0.80 -1.20 |
0.2 -0.5 |
各化学成分の一般的な影響は下記に示す通りです。
- C(炭素)
- %が増すと硬さ、引張強さが高くなる。
- Si(けい素)
- %が増すと、引張強さが高くなる。
- Mn(マンガン)
- %が増すと、焼入性が向上する。
- P(リン)
- %が増すと、もろくなる。
- S(硫黄)
- %が増すと、高温で割れが出る。
- Ni(ニッケル)
- %が増すと、粘り強くなる。
- Cr(クロム)
- %が増すと、焼入性が向上し、耐摩耗性も向上する。
- Mo(モリブデン)
- %が増すと、耐摩耗性が向上する。
- W(タングステン)
- %が増すと、耐摩耗性が向上する。
- V(バナジウム)
- %が増すと、耐摩耗性が向上する。
◎ただし、各成分の%は、バランスが保たれた場合に合金としての特徴を発揮できると考えて下さい。