トンネルゲート(サブマリンゲート)は、パーティング面の開閉時に成形品とゲートを自動切断する構造のゲート方式として多用されています。
トンネルゲートの基本設計では、形状や寸法などのノウハウが必要になりますが、今回は、成形品とゲートとランナーの関係について基本的なバラエティを紹介します。
【図】には、一般に採用されているトンネルゲートの基本パターンを示しています。
パーティング面を挟んで、固定側と可動側に大きく大別しますと、ゲートとランナーの組み合わせは、4通りのパターンがあります。
固定側にトンネルゲートが設けられている場合には、成形品とゲートの切断は、パーティング面が開く際に行われます。したがいまして、ゲート切断の状態は、型開き速度により変化するものと考えられます。
一方、固定側にトンネルゲートが設けられている場合には、成形品とゲートの切断は、ランナーエジェクターピンがランナーを突き出す際に行われます。したがいまして、ゲート切断の状態は、ランナーエジェクターピンの突き出す速度により変化するものと考えられます。
固定側にランナーが設けてある場合には、ランナー自体が固定側に残る可能性がありますから、ランナーを可動側に引っ張ってくるロックピン等の構造が必要になります。
可動側にランナーが設けてある場合には、ランナーを突き出すためのエジェクターピンを適宜設けておく必要があります。
特殊な例としては、可動側に設けたボス形状(エジェクターピンを削って細工します)にトンネルゲートを設け、成形品の天面裏側から樹脂を注入する構造もあります。
実際には、成形品の特徴や樹脂特性によって、どのパターンのゲート、ランナーパターンが適切であるかを考慮して金型設計を行います。
成形品の側面や天面にゲート跡が残ってはいけない仕様の場合、成形品の裏面にゲートを配置しなければならないレアケースがあります。
このような場面での技術として、カーブド・トンネルゲート構造(curved tunnel gate)が希に採用されます。
カーブド・トンネルゲート構造は、パーティング面から可動側コアの内部に湾曲したゲート形状が設けられます。したがいまして、コアの天面にゲート開口部が位置します。
ゲート付近のランナーには、エジェクターピンを配置し、そのピンの上部には、ゲート保持のためのボスを設定します。ボスの全長は、Hとし、突き出しの際に、成形品がコアから完全に離型するまで、ゲートを保持し、円滑なゲート切断ができるようにします。
湾曲部の形状は、試行錯誤により修正を行う場合が多いのが実状ですが、金型修正が簡単なように最初から入れ子分割構造としておくのが賢明策です。
ゲートの抜けは、金型の冷却時間や保圧時間にも左右されますので、試作の際には、これらも変化させてサンプル採りを行うのが望ましいでしょう。
トンネルゲートは、いずれの方法であっても成形品とゲートが切断される際に、切り口の切断状況や切断かすが問題となり得ます。
切断状況は、主に以下の要因が絡んできます。
- ゲートの先端部の形状デザイン
- ゲートの太さ(断面形状)
- ゲート切断部からランナーロック部までの距
- 保圧の作用状況
- ゲート部の高分子の配向状況
- ゲートと成形品の切断タイミング
精密成形品や多数個取り金型では、上記の内容を金型起工前に十分に検討をしておくことが重要になります。