ホットランナーは、金型の中に電気的に加熱されたランナー部を内蔵することにより、スクラップとなるランナー部を全く発生せずに射出成形ができる特徴があります。
ホットランナーは、大量生産されるプラスチック射出成形品にとってはスクラップの極小化を図ることができるため、材料コストの低減、スクラップ処理コストの低減を飛躍的に達成することができる技術です。
さらに、コールドランナーで発生する充填圧力損出が小さくなるため、充填圧力も低く抑えることができます。また、冷却サイクルも短縮を図ることができます。
国内でも食品容器、医療用具、自動車部品等で多数の使用実績があります。
ホットランナーシステムは、機構部分がマニホールド部分とノズル部分に大きく大別されます。さらに、ホットランナー部の温度制御を行うコントローラーが必要になります。
ホットランナーは、自社内で設計製作を行う場合と市販のシステムを購入して採用する場合があります。
一般的には市販のシステムを購入して応用する方法が普及しています。
市販のシステムは、国内外で20社ぐらいが提供をしており、それぞれが加熱方式や伝熱構造に技術的な特徴を持っています。
例えば、ノズルの加熱方式には外部加熱方式や内部加熱方式があります。また、ゲートを強制的に機械的に開閉させるバルブゲート構造なども開発されています。
ホットランナーは、成形材料によって使用できるタイプと成形が困難な場合がありますので、樹脂の種類やガラス繊維の有無などを事前に十分に検討をしなければなりません。
金型の設計では、ホットランナーやマニホールドの組み込み部の構造、熱膨張対策、冷却構造、メンテナンス構造等を考案しなければなりません。
一般の金型設計とは異なり、熱計算や強度計算を十分に検討する必要があります。
また、ホットランナーは、成形品の生産数量が多くないと初期投資の回収が困難になりますので、その金型で何個ぐらいの計画生産を行うのかを綿密に企画検証しなければなりません。
最近では、材料価格の高いスーパーエンプラ関係の成形品の開発等でバルブゲートや新型のホットランナーが採用される傾向が見られるようになってきています。
成形コストを極小化し、環境調和の成形を実現する手段として徐々に日本でも普及が進んでいくと考えられます。