ピンポイントゲート構造でのランナーロック形状は、様々なパターンが採用されておりますが、一般的に多用されているパターンは、【図1】に示すタイプでしょう。
【図1】のタイプは、頭部にアンダーカット形状を有するランナーロックピンを、ランナー根本に配置し、固定側型板とランナープレートの間が開く際にランナーとゲートを強制的に離型させる方式です。
ランナーロックピンは、ランナープレートにすきまばめで勘合され、固定側取付板にプレートやスクリュープラグによって固定されています。
この方式では、薄肉の成形品や流動時の圧力損出が大きな樹脂の場合、ランナーロックピンの頭部によりランナー内の流路が狭められ、成形条件の面で高い充填圧力や保圧が必要になる場合があります。
このような場合には、【図2】に示すように、ロック部をランナープレート内に一段下げて固定する方法が考えられます。この方法ですと、ランナープレート上に円錐形の彫り込み加工が必要になりますので、その分金型製作費用は高くなりますが、成形時の圧力損出は改善が可能です。
成形サイクルを短縮したい場合には、【図3】のようにランナーロックピンの先端部を円錐形に尖らせて、肉盗みを兼ねたロック形状とする方法もあります。この方法ですと、ランナー中心部の余肉がそぎ落とされるので、冷却が効率的に行われ、サイクル短縮に効果がみられます。
ただし、円錐形状部のバランスが悪いと、円錐部の根本から折損する場合がありますので、コーナーRの付与等の強度改善対策が必要となることがあります。
これから設計しようとする金型のランナーロックに求める最優先の課題は何であるのかを判断して、適切なランナーロックの選定を行うことをお勧めします。