金型を作って、成形試作を行ったところ、「ランナーの太さをあと少し細くしておけばよかった!」 とか、「左右のキャビティの充填バランスがどうしても取れないから、ランナーの太さを調整したいのだが…」といった経験はありませんか?
金型にランナーを機械加工して掘り込んでしまうと、それを細くするためには、金型の作り直しや、入れ子修正、溶接などの大掛かりでお金のかかる対応をしなければなりません。
かといって、設計の時点でランナーのサイズを計算でどんぴしゃ決めることは大変困難です。さらに、新しいプラスチック材料で経験が不十分な場合にはなおさらランナーサイズの決定にはリスクを伴います。
このようなリスクを低減し、簡便にランナーの流量を調整できるようにする部品が、「ミスミ ランナー流量調整ボルト RRCB」です。
本製品をランナーの途中に取り付けることで、ねじ部を回転させて流動する樹脂の流量を調整することができます。試作金型における流量調整の見極めをするには大変有効な部品です。
本製品は、2プレート構造金型にも3プレート構造金型にもお使い頂けます。回転部と取り付け穴のクリアランスは、成形材料によってばりの発生が許容できるかどうかで決定します。
材質は、S45Cで硬度は33~38HRCです。表面に四三酸化鉄皮膜をコーティングしてあります。
ボルト先端は、切削や研削で長さ寸法を短く機械加工することも可能です。
直径は、φ6、φ8、φ10の3種類です。
ねじの回転は、マイナスドライバーで簡単に回転させることができます。
成形試作では、想定外のトラブルが発生するものです。ランナー流量の調整が必要になった場合には金型の修正に数日もかかり、その間、意思決定が遅れて量産開始までの技術見極めが停滞してしまいます。成形機から金型を降ろさない状態で、試作を簡便に行って、流動性の確認をスピーディーに行うことはこれからの技術開発スピードを加速するためには大変重要な着眼点です。
これからの日本に残る金型は、新しい樹脂素材を使用するケースが多くなります。ノウハウや経験が不足している場合には、成形試作をいかにスピーディーにこなして、使えるデータを採取して分析できるかが鍵を握ります。