最近のプラスチック射出成形加工では、新しいスーパーエンジニアリングプラスチックや添加剤を含んだプラスチック材料を使用し、高速充填で金型内に樹脂を注入する成形加工が増えてきています。このような傾向が増えることによって、量産加工中に金型に発生する現象の一つに、ガス溜まりやエアベント詰まりがあります。
ガスは成形材料の内部から発生し、金型の表面や入れ子の隙間、エアベントに付着して徐々に蓄積をしていきます。そのような状態が数千〜数万ショット続きますと、成形品の表面が曇ってきたりショートショット(充填不良)が発生するようになってきます。このような状態を脱却するためには、金型を成形機から降ろして分解清掃メンテナンスを行わなければなりません。そして金型を再度成形機へ載せて、金型をヒートアップして成形条件を安定させるためには、少なくとも30〜2時間ぐらいの時間が必要になります。
つまり、金型内のガスが蓄積することを効果的に改善できれば、プラスチック射出成形加工の生産性は飛躍的に改善できるといえます。
そのための手段の一つにミスミ「バキュームユニット」の活用があります。
バキュームユニットは、ガスが溜まり易い箇所の近傍にエジェクタピンやTSベントを設け、その下部へ取り付けます。バキュームユニットには工場で使用している圧縮空気をジョイントとチューブで接続し、連続またはタイマーなどで間欠的に圧縮空気を流す構造になっています。
圧縮空気がバキュームユニットに流れ込みますと、負圧効果によって、エジェクタピンの隙間やTSベントの空隙から強制的にガスを吸引します。
ガスの発生しやすい成形材料では、強制的なガス吸引は極めて効果的で、金型のメンテナンスサイクルを大幅に長くすることができます。
バキュームユニットを設置する場所の選定がノウハウとして必要になりますが、成形品の大きさや形状、使用する成形材料の種類等によって、適切な選定をされてご使用になられているユーザーが増えてきています。