ミスミ「ガス抜きストレートコアピン」シリーズは、プラスチック射出成形の際に発生するガスやキャビティ内部のエアーを、排出促進するための部品です。
プラスチックは、溶融して金型内部へ充填される際に、高速で流動しながら狭いキャビティの中を走り抜けていきます。特に最近では、プラスチックの素材にガラス繊維や難燃剤などの無機成分、化学成分が配合されていたり、新しいプラスチック素材でガスを発生しやすいものが登場しています。
このような素材を射出成形するためには、金型の随所にエアベントやガスベントを設けてガスが排出できないがために発生する充填不良(ショートショット)やガス焼けを回避しようとさまざまな工夫がなされます。
しかし、微細な部分やボス形状などの局部においては、有効な対策が取れない場合もありました。
そこで、今回開発しました「ガス抜きストレートコアピン」は、ガスを抜きたい部分にコアピンとして埋め込むことによって、ガスを効果的に逃がすことができます。
まず、本製品の基本構造ですが、ピン先端部(プラスチックと接触する部分)の直径寸法が、ピン本体の直径よりも最大で0.04ミリ細く指定して加工することができます。
この部分より、ガスを外部へ誘導します。
次いで、コアピンの頭部近傍には、深さ片側0.05ミリ〜最大0.5ミリ(注:ピンの直径により変動します)の深いガスベント溝が設けられています。この鉢巻状の深いベントから、さらにピンの側面に設けられた外部排出溝を伝わって、キャビティの内部から外部へガスを逃がします。
ピンの直径は、最小0.5ミリから最大6ミリです。したがって、カメラ部品や電子部品等の微細な形状のガス抜きにも対応が可能です。軸径は固定タイプと、0.005ミリ単位で軸径指定できるタイプがあります。
ピン全長は、最短15ミリから最長120ミリとなっています。
ピン材質は、NAK80、DH2F、SKD61、SKH51から選択ができます。
成形品の品質を安定化させて不良の検査コストを低減させる目的、海外で安定した生産を指向する金型では、本製品の効果を十分に発揮することができると考えています。
なお、本製品の効果を持続させるためには、定期メンテナンスの際に、洗浄して付着した脂成分の除去を推奨いたします。