スライドコアがかじりを起こして、金型を破損してしまった経験はありませんか?
スライドコアは、毎ショットごとに作動を繰り返し、スライドコアとスライドプレートやガイドレールの側面に接触を繰り返します。その間に、クリアランス部にはガスや脂(やに)、水分などが付着して、異常摩耗を起こし易い環境が徐々に形成されて行きます。
さらに、金型温度が上昇してゆくと、スライドコア自身や金型の部分が熱膨張していきますから、クリアランスの状態が常温状態とはだんだん異なってきます。
かじりが発生するのは、それらの悪条件が蓄積していき、耐えられなくなった時です。
かじりを防止するためには、スライドコアが異常摩耗しないような構造上の工夫やメンテナンスが大切ですが、決定的な決め技があるわけではなく、考えられる最良の手段を組み合わせて発生確率を低減させることが実務的な方法です。
そこで、ご紹介するものが「潤滑剤−スライドコア専用かじり止めグリスタイプ−」です。
この潤滑剤は、スライドコアのかじり防止の専用のために開発されたものです。摩擦係数は0.04と小さく、しかも油膜切れしにくい性能を持っています。
成分は、精製鉱物油、ステアリン酸リチウム類、酸化安定剤、極圧添加剤です。
使用温度領域は、−20〜170℃となっていますので、金型温度が150℃程度までは対応が可能です。
この他に、スライドコアと同様に作動をする部品の摺動面に塗布することも良好な結果をもたらすと思われます。
ただし、成形品と直接接触する箇所への塗布は、成形品に潤滑剤が少し残ることがありえますから、使用の際は、検討をお勧めします。